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天州晴神霊記 第五章――4


「うなされる人たちがいるからと 邪気祓いを依頼されて、
 この近くに来てみたら 邪気が溢れ出ていたの。
 で、 調べてみたという訳。
 何日か前から うなされていたというから、 しばらく気が付かないでいたみたいね。
 あっ、 そうそう。
 盗まれたことを しゃべりまくったのは あなた方なの?
 せっかく 騒ぎを大きくしないうちに片付けようとしてたのに、
 噂が飛び交って、 みんな不安になったじゃないの」

「いや、 斎土府に文を出しただけだ。 他には漏らしていないぞ。
 そなたたちではないのか。 どこから漏れたのだろう。
 う~む、 何時盗まれたのかもはっきりしないのか。
 分からぬ事だらけだな。
 おい、 名探偵。 おぬしはどう見る」
 突然現れて 妖魔を切り伏せた若者に尋ねられ、 写緑は我に返ったが、
 一人では立ち上がれない。

「あんな出来損ない妖魔、 唾でも付けておけば 消えたのだ。 しっかりしろ」
 志信に助け起こされた。
 よろよろとしながら、 写緑が呟いたのは。
「犯人は、 破魔の方を操る術者か、 もしくは 破魔の剣の使い手だろうな」
 その意味が分かるか とでも言いたげに、 ちらりと目が得意げに光る。
「なるほど」
「はい、 そうかもしれません」
 若者と巫女が頷いたのを見て、 写緑は不服そうだ。

「あんたたち、 付き合いが悪い。
 名探偵が推理したんだ。
 もっと驚いて 理由を聞くとかできないものかね。
 まったく 近頃の若い者は……」

「わあ、 なんで術者なんだ。 なんで破魔なんだ。 教えて欲しい」
 志信一人が 目を輝かせて問いかけた。
「そう来なくっちゃ」
 なんて良い子なのだろう。
 引っ張りまわされたことを帳消しにしてやってもいいかもしれない。
 写緑は 胸をそらして、 得意のしたり顔になった。
 自慢の鯰髭をひと撫でするのも忘れない。

「まだ 推理の途中だからな。
 犯人が判明するまでは 教えてやらない」
「なんだ、 そうなのか。 残念」
「諦めるな!  まったく どいつもこいつも」
「だって教えてくれないんだろ。 霧呼様に聞く」

「くっ、 特別だ。 ありがたく思え。
 いいか、 犯人は ただ盗むだけじゃなく、
 わざわざ贋物とすり替えて 発見されにくくしている。
 長い間発見されなければ、
 星都、 いや 天州晴は 魔に犯されて 大変なことになるところであった。
 たまたま発見した巫女さんに 感謝せねばなるまいて」

「たまたまじゃないけどね」
 口を挟んだ斎布を無視して、 写緑のしたり顔は続く。



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