RSS

天州晴神霊記 第四章――7


「えーと、 次はっと、 午後からは孔雀町に行くわよ」
「承知!」
 二人は 颯爽と大内裏を後にした。


 来て欲しくない時には、 行く先々に現れて邪魔くさいくせに、
 いざ探そうとすると 斑は見つからなかった。
 どうせ 善良な市民に迷惑行為をしているのだろうと、
 それらしい場所を当たってみたり、 地元に詳しそうな人に尋ねたりしてみたが、
 いっこうに見つからない。

 ごろつき仲間なら知っているだろうかと、 それらしい 人相と態度の悪い輩にも聞いてみた。
 「けっ、 俺に聞かねえで下せえ。 けったくそ悪い。
 どうせ またコソコソと ろくでもねえことに走り回ってるんだろうよ」
「あいつはどうもね。 近頃関わりあいたくねえ。 知りませんや」
「腕っぷしの強いのを集めているとか、 ちらっと聞いたけどなあ。
 とりわ たちの悪いのに 声をかけているらしい」

 ごろつきにも評判が悪い。
 斎布は ますます嫌いになった。
「まったく、 どこに隠れちゃったのよ」
「あんな迷惑な奴を 何故探すんだ。
 居ないほうが みんなだって嬉しいだろ。 俺は嬉しい」
 志信は にっこり笑う。

「ねえ志信。 私って何に見える?」
 斎布は 袖を引っ張って 衣装を見せ付けた。
「可愛い巫女さんみたいだ。 みいんな間違えていたな」
「都見物に出かけるって言ったら、 こんな格好にされたの。
 何故だか分かる?」
「似合うから」
 志信が相手だと、 話が進まない。

「ありがとう。 でも それだけじゃない。 安全だからよ。
 神職にある神官や巫女は、
 一般の人々からは一目置かれるから、 危ない目に遭うことがほとんどないもの。
 絵草子屋さんが 就職の斡旋をしなかったのも 巫女だと思ったからよ。
 きっとそう」
 最後の一言は、 ほとんど独り言。

 神職の能力も様々だから、 何から何まで頼りになるわけではないが、
 それでも 妖魔や邪気に対抗できる可能性は、 他にはほとんど無い。
 お大尽だろうが ゴロツキだろうが、 神職に頼るしかないのだ。

「それなのに、 巫女に悪さをするっていうのが どういう了見なのか気になるでしょ」
「考え無しの、 ものすご~く悪い奴だ」
「はあ~、 なんだか そんな気がしてきたわ。
 もう少し探しても見つからなかったら、 帰りましょう」

 斑は 見つからなかった。
 しかし、 行く先々で ある噂を耳にするようになった。
 そのせいで、 ごろつき一人の行方など 気にするどころではなくなった。

「何故?  こんなに早く……、 おかしいわ」



戻る★★★次へ

トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア