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赤瑪瑙奇譚 第三章――5


 せセナの様子が おかしい。
 以前の華やかさが、 まるで 感じられない。
 ともすると、 オトヒコや モクドの末っ子と一緒のことも多くなって、
 口の悪い連中から 『壁紙三兄弟』 などと言われたりしている。 急激な変化に 皆驚いていた。

 父ウナサカと母アリソが 心配して 呼び出した。
「セセナ、 何があった」
「正気に 戻りました」
 ひどく 落ち着いた声だった。
 アリソが目を見張る。 本当に 変わってしまった。

「わたしたちにも 分かるように 話してくれる?」
「今まで 『とにかく 何が何でも目立つ お姫様』 を目指して 無理を重ねてきました。
 でも、タマモイ様も モクドの王子も エヒコもオトヒコも、 ありのままの自分を受け止めた上で頑張っている。
 わたしは 間違えていたような気がしてきました。
 ユキアお姉さまは、 何をしても 何処にいても ユキアお姉さまなのに、
 わたしは、 何をして 何処に居たのだろうと……。
 それに、 わたしがなりたかったのは ユキアお姉さまだったのです。国を挙げての大花火 ではありません。
 嫌なのです。 長い間 戦に明け暮れていたような国に お嫁に行くなんて」
  
「だから セセナが、 平和の女神の象徴として 行くのではありませんか」
 アリソが あきれたように 言う。
 いまさら何を言っているのだ、 この子は。

「わたしは 女神にもなりたくありません」
 消え入りそうな声で 俯き、 涙をこらえている。
 猶も言い募ろうとするアリソを、 ウナサカが止めた。

 決して 気が強いとはいえないこの姫が、 こうなったら 梃(てこ)でも動かないことを 経験上知っていた。
 無理に嫁がせても 泣き暮らすだろう。
 気持ちが変わるまで、 また十年くらい かかりそうだ。

 こうなったら、 ユキアしかいない。
 いくら 女装させても可愛いからといって、 エヒコやオトヒコを 嫁がせるわけにもいくまい。
 国際問題になる。

 実は、 気が強いユキアのほうが 動かしやすい。
 上手く説得できれば、 華やかな姫にもなるだろう。
 ホヒコデ王に 次第を話すと、
「やはり そうなったか。 運命じゃ。 ユキアには 余から話そう」
 驚く様子も無く、 納得した。


「陛下、 ごきげんよろしゅう」
 挨拶したユキアを じっと見つめたホヒコデ王は、 頷(うなず)くと、 単刀直入に言った。

「コクウに嫁げ」

「セセナのはずでは ありませんの」
「あれには 務まらぬ。 余は はじめからおまえを考えていた。 他の者は ともかくな。
 セセナも 泣いて嫌がっておるそうじゃ」

 ユキアは唖然(あぜん)とした、 一目惚れは どうなったのだろう。
 王は じっと見つめていたが、 おもむろに話し出した。

「おまえが生まれた時の騒ぎは 聞いておろう」
「はい、 うんざりするほどに」

「祝砲の二発目を撃った者は 居らぬのだ」
 さすがに はじめて聞く話に、 目が点になる。


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by まとめwoネタ速neo on 2012/05/20 at 03:10:23

 せセナの様子が おかしい。 以前の華やかさが、 まるで 感じられない。 ともすると、 オトヒコや モクドの末っ子と一緒のことも多くなって、 口の悪い連中から 『壁紙三兄弟』

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コメント
88: by ポール・ブリッツ on 2012/05/17 at 19:59:28 (コメント編集)

このまま収まるところに収まってめでたしめでたし、とはいかないのでしょうね。

まだまだ先は長いのでしょうね。

これからこの三国がどうなるのか楽しみです。

89:Re: ポール・ブリッツ様 by しのぶもじずり on 2012/05/17 at 20:52:25 (コメント編集)

だいたい 三分の一 くらいのところです。

はい。先は長いです。

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