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天州晴神霊記 第四章――2


 大路灯篭の光石が 贋物に替わっていたことを報告する。

「四―九八七番灯篭か。 都はずれだの。
 贋物を置いてゆくとは、 単なる盗人にしては芸が細かい。
 よし、 今日中に 代わりの光石を取り付けよう」
「誰の仕業か分からないのに、 今日中にできるんですか」
 斎布は 驚いて聞き返した。

「予備がいくつかあるのだ。 当たり前だろう。
 あっ、 これは内緒だ。
 盗人が 安心してどんどん盗んでは敵わぬからな。
 それと、 取り戻す手配をして…… と」
 一夜姫は 文机を引き寄せて、 覚書を書き込んだ。
 かなりの金釘流だ。
 やはり あの手紙は直筆だったらしい。 瀕死のミミズが 盆踊りをしている。

「なに、 すぐに見つかる。 光石探索の専門家が居るのだ。
 しかし、 やることが地味だの。
 怪光線で焼き払うとか、 巨大化するとかはないのか。
 たくらみ事は 派手をもって良しとすることを知らぬのか」
「初耳です」
 と、 宗靭。

 信じられない会話は さておき、
「宮中は大丈夫なのでしょうか。 妖魔は出ませんでしたか」
 斎布は不安になって、 思わず聞いた。
「なんとかなるだろう。
 斎土府の神官が 使い物になるかどうかは怪しいが、
 いや、 使い物にならない方に おやつを掛けてもいいが、
 五瀬(いつせ)が 破魔の剣を使える」

「五瀬って?」
 志信が無遠慮に尋ねる。
 宗靭はあわてたが、 一夜姫は気にしなかった。
「あっ、 東宮って言わないとまずかったな。
 幼い頃は わらわのお気に入りの玩具(おもちゃ)だったので、 つい癖が出た」

「ああ、 オクテの東宮様のことですか」
 志信の言葉に、 一夜姫はくすくす笑った。
「確かに 東宮は陛下と違い、 剣の腕前はなかなかだが 女人に関してはオクテだね。
 どこで聞いた」
「巷の噂になっています。
 帝は 四人も奥さんがいらっしゃるのに、 東宮様を何とかするほうが先じゃないかと」
「そんなことになっているのか。
 当分無いな。
 陛下は あわてないほうが良いとお考えだ。
 わらわも そう思う。
 その上、 星読み博士から奏上があった。
 東宮の嫁取りは 二十一歳をすぎてからでなくては 良い縁が現れぬとか。
 陛下のご機嫌取りだが、 これ幸い。 あと三年ある。
 それまで待て と陛下がお命じになった」

「おお、 それって、 みんなに言っちゃっていいのか」
「言わんでいい。 内々の事だ。
 言いふらすなよ」
「わかった。 言わない。
 俺は オクテの東宮様より、 四人も奥さんが居る陛下のほうが気になる。
 大丈夫なんだろうか」

「そなた、 面白い子じゃ。 くっくっくっ、 気に入った」



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コメント
1298: by キョウ頭 on 2013/04/25 at 22:33:03

また、アクの強そうなキャラクターが登場しましたネ。
ミミズを盆踊りさせるわ、特撮好き(巨大化好き?)だわ…

でも、一夜姫の個性は私好みかもw

1299:Re: キョウ頭様 by しのぶもじずり on 2013/04/25 at 23:37:44 (コメント編集)

こゆ~いお姉さん(もしくは おばさん)登場しました。
私も この手の人物を書くのは楽しいです。
「くれないの影」の綺羅君とか。

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