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天州晴神霊記 第四章 斎土府――1


 宗靭に連れられて、 斎布と志信は 眠い目を擦りながら 大内裏の楼門をくぐった。
 隙を見て 二人の男を撒いて屋敷に帰る早々、 宗靭の寝込みを襲って 重大報告をすると、
 翌朝の同行を求められたのだ。

「お二人とも、 もう少し しゃっきりとしてください」
 宗靭に活を入れられたが、 どうにも眠い。
 斎布は、 退魔の剣を使う男が気になって、 なかなか寝付かれなかったのだ。
 華麗な剣捌きで 妖魔を一刀の元に斬り伏せた男。
 いったい何者なのだろう。


 斎土府は 独立した大きな建物を丸ごと使っていたが、
 そこに勤める人間は ほとんど居ない為、 やけにがらんとしていた。

 長に内親王が就くと 斎土府には女官が入る。
 それを 内侍(ないし)という。
 おとなしそうな若い女官に案内されて、 奥まった部屋にたどり着くまで、
 およそ人の気配も感じられない。
 長の部屋でも それは変わらなかった。
 無駄に広い部屋の奥に敷かれた敷物に、 ぽつんと所在無げに座した女人が一人。
 脇に 小さな文机が一つ。
 それだけだった。

「松毬か。 今日は可愛らしい付録が二つもついているな。
 わらわへの貢物(みつぎもの)か」
 その女人、 斎土(いつきど)様こと 帝の第一皇女 一夜(ひとよ)姫が 楽しそうに声を掛けた。

「もちろん違います。
 いまどき 斎土府に貢物をするトンチキはおりません」
 宗靭の失礼な言い草も、 一夜姫にはどこ吹く風だ。
 どちらかといえば美しいといえる皇女だが、 雰囲気が どことなくおっさん臭い。
 帝によく似ていた。

「遠慮するでない。 常時受け付け中じゃ。
 うむ、 このところ暑くてかなわない。
 そちも朝っぱらから汗臭い。 というか暑苦しい。
 内侍、 冷えた水をふるまってやって。 わらわの分もね」
 案内してきた女官に言いつけた。

 人手不足の斎土府では、 この内侍が 何から何までこき使われているらしい。
 若い娘には、 過酷な職場環境のようだ。
「では、 真名井から 汲み立てのお水を持ってまいりましょう」
 内侍は いやな顔も見せず、 部屋を出て行った。

「やっと 女官が入りましたか」
 見送って言った宗靭に、 一夜姫が身を乗り出した。

「さてと、 何か面白いことでも起きたか。
 巨大化した妖魔が 都を荒らし、
 対抗して 正義の術者も巨大化して しゅわっちと叫ぶや死闘を演じ、
 星都が瓦礫の山と化した とか」

「そんなことにはなっていません」
「それは残念。 では 誰が巨大化したのだ」
「誰も巨大化なんかしてません。
 光石が盗まれました。
 仔細は 発見したこの二人から 直接お聞きください」



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コメント
1294:おはようございます! by 大海彩洋 on 2013/04/25 at 08:13:53 (コメント編集)

朝、ちらっと覗きに来て更新分を拝読したら、何だか元気になりました(^^)
やっぱり、しのぶさんの文章は軽快で良いです(*^_^*)
台詞もしゃれてる~しゅわっちって…^^;
面白い会話がどんどんでてきて、頭に残りそうなので、今日職場で変なことを言わないようにしなくちゃ!

1295:Re: おはようございます! by しのぶもじずり on 2013/04/25 at 17:34:34 (コメント編集)

大海彩洋様 いらっしゃ~い。

元気が出たならなによりです。
どうも私のところは、脇キャラが目立つようです。
あの帝の娘なので、傍若無人ぎみになっています。

これからも、楽しく元気になるブログを目指そうかなっと。
ということで。

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