RSS

天州晴神霊記 第三章――12


「ちょろい」

 しかし、 そうはいかなかった。
 いったんは浄化されて姿を消すものの、
 邪気の流れは 止まることなく溢れ、 飽きもせずに 新たな妖魔を生み出していく。
 きりが無かった。

「なんじゃ、 こりゃ」
「だから、 妖魔でしょ」
 始めのうちは、 いい練習になるかも と気楽に霧呼紐をふるっていた斎布だったが、
 祓っても祓っても 湧いてくる妖魔に、 だんだん疲れてきた。
「こういうの、 嫌いだ」
 志信がぼやけば、
「私だって、 いいかげん飽きたわよ」
 斎布は げっそりした。

「ねえ、 なんだか拡がっていない?」
 志信が走り回って 妖魔を斬る際に蹴散らした邪気の欠片が、
 思いもよらぬ場所に集まって 塊から妖魔を生み出していた。
 その範囲が だんだん広くなっている。

 取り逃がした一匹が、 太く短いツチノコ状の黒い影となって 人家にもぐりこんだ。
 その家から 異様な呻き声が上がる。
「まずいな、 こりゃ。 全然解決になってない。
 まとめて ドカーンとやっつける方法がないもんかなあ」

「あるかも……」
 言ってはみたものの、 斎布にも 自信なんかなかった。
「おお、 やろうぜ。 それ」
「簡単に言ってくれるけど、 うまくいくかどうか分からないわよ」
 要するに、 単なる思い付きだ。

「どうやるんだ」
「えーと、 まず霧を目いっぱい出して、 この辺りを包むの。
 それで、 霧の一粒一粒に 神気を入れれば、 一網打尽かな? 
 でも、 やったこと無いし、 範囲が広くて 集中するのに時間がかかるかもしれない。
 そうなると 空気が乾いているから、 霧が晴れちゃうでしょ。
 やっぱり難しいわね」

 斎布が ぶつぶつと頼りなさそうに言うと、 志信は 胸をどんと叩いた。
「なあんだ。 任せろ。
 それなら、 俺が神気を呼ぶ。 霧呼様は 霧を頼む」
 分業にすればいいのだ。
 普段は オバカ発言連発の志信も、 闘いとなると鋭い事を言う。

「分かった。 いくわよ」



戻る★★★次へ

トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア