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天州晴神霊記 第三章――5


 雅彦君は、 四十に近い おっさんだった。
「雅彦君と呼んでください。
 慣れていますので、 そのほうが 返事がしやすいです」
 きっぱりと言われてしまえば、 素直にうなずく以外、 若い二人に何が出来ただろう。

 星都に しょっちゅう妖魔が出るわけではない。
 むしろ めったに出ることは無い。
 出るのは、 主に世情が不安定になった時だが、 急速に発展する時期にも出ることがある。
 つまるところ、 明確には予測することは出来ない。
 だから 油断が出来ないのは困ったところだ。
 しかし、 妖魔は最終的には目辻に集まってくる。
 途中で取り逃がしても、 目辻で待っていれば たいてい退治できるのが星都のありがたいところだ。

 小物は 放っておいても浄石が吸い込んでくれる。
 たちの良くない大物だけを退治すれば良いのだ。

 もう一つ助かるのは、
 大路灯篭の光石が 妖魔に反応して、 ほんのわずかだが 色を変えることだ。
 大物が出現すれば はっきりと色が変わると伝えられているが、
 そういうことは めったに無い。

「屋敷内に 高い櫓があるのは お気づきですよね。
 あそこで 当番の者が 毎晩光石の色を見張っています」
「今日見つけたけど、 光の色なんか気がつかなかったわ」
「はじめは分かりにくいでしょうが、
 なあに 慣れてくれば、 色の違いが見分けられるようになりますって。
 そういえば、 近頃 ちらほらと良くないのが出てきていますね。
 現れるときは立て続けに出てくることが多いです。
 用心してください。
 今屋敷にいる術者は、 お二人のほかには 輪様と私だけです。
 手に余る事態になったら 水輪繋に応援を要請しますから、 早めにおっしゃってくださいね。
 他の術者は 霧呼様のようなわけにはいきませんから」

「あっ」
「どうなさいました?」
「なんでもない」
 参ったなあと思った。
 霧を呼ぶことと 簡単な邪気祓いしか出来ない と言ったほうが良いのだろうか。
 伝説化した二人の霧呼姫と同じじゃないのに。
 期待されても困る。
 やはり言っておくべきだろうか。

「あのう、 実は……」
「応援なんか いらないと思うぞ。
 なんてったって 霧呼姫と俺様がいるんだからな」
 志信が 自信満々に言い切った。



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