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天州晴神霊記 第三章――4


「遅―い。 皆 心配いたしましたぞ」
 帰るなり、 二人は宗靭に叱られた。

 妖魔の件は 報せなくてはならないだろうと、
 遅くなった夕飯の後、 輪に逐一報告すれば、 ため息をつかれた。

「はーっ、 鬼道門家の姫、 それも霧呼姫ともあろうものが、
 妖魔に出会いながら 他人に助けられたってどういうことよ。
 立場が逆でしょうに。
 本来なら あなたが助けるのが筋ってものでしょ。
 ほーんとに使えないわね」

「助けてくれと頼んでないのに、 あいつらが 勝手に妖魔をやっつけてしまったんだ。
 しょうがないだろ」
 相変わらず 志信もけんか腰だ。
「あー、 やだやだ。 術者の誇りとかないわけ」
「それくらい、 あるに決まってるだろう」
 売り言葉に買い言葉、 という奴だ。
 勢いだけになって 志信が言い返す。
 もしかしたら、 そんなもの無かったかも…… と思ってしまったことは、
 口に出せなくなってしまった斎布であった。

 話がどんな風に転がって そんなことになってしまったものやら、
 二人の言い争いを真面目に聞いていなかった斎布が ふと気づいたときには、 とんでもない事になっていた。

「じゃあ、 私の代わりに 星都の妖魔退治が出来るっていうの」
「おお、 やってやろうじゃないか。
 そんな事は ちょちょいのちょいだ。 ほえ面(づら)かくなよ。
 こっちは天下無敵の霧呼姫だぞ。 妖魔ごとき一網打尽だ」
「誰が 天下無敵ですって?」
 斎布のびっくり声は 無視された。

「やってもらいましょ。
 任せたわ。 私は久しぶりに お日様に当たって まったり過ごすことにするわ」
「お日様に焼かれて、 灰になってしまえ」
 なんなのだ、 この二人は。
 斎布がそう思ったときには、 話が出来上がってしまっていた。

 かくして 『縁談中止作戦』が一歩も進まないまま、 輪の業務を代行する羽目になったのだった。
「引継ぎは 雅彦君に頼んでおくから。 後はよろしく。
 私は寝るわ。 あーあ、 夜にゆっくり眠るのは何年ぶりかしら」
 輪は 嬉しそうに笑った。



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