RSS

犬派のねこまんま 26である     byねこじゃらし

<花見なのだ>


 吾輩が八歳、 妹が三歳。
 記憶を検証すると、 そういう勘定になる。
 一家そろって 花見 に行ったのだ。

 地図の読み方もろくに知らず、
 自由意思で移動することも ままならない年齢である。
 親に連れて行かれたのは、 大きな川の河川敷のような場所であった。
 もしかしたら 信濃川かもしれない。
 広々と続く場所に、 見渡す限り、 ……。
 あっちもこっちも だらけだった。

 桜の下で弁当を食べ、 ジュースを飲み、 お菓子を食べる。
 子ども連れだから、 酒は無い。
 この辺は、 大人の花見と大差がないが、 子どもは 同じ場所にじっとなんかしていない。
 桜の下を走り回る。
 なにしろ、 やたらに広い上に、 人間も さほど多くはないから、
 上野と違って 問題は無い。


 花見客目当ての店が出ていて、 お面を買ってもらった。
 吾輩は 般若(はんにゃ)の面。 どういう選択だろう。
 妹は、 おかめの面。 何故 それなんだ。

 今時なら、 そんなお面を売っているとは思えない。
 そもそも 近頃は、 縁日でも お面を売っている店自体を見ない。
 その頃にだって、 般若おかめ は珍しかったはずだが、 そこには有ったのだ。
 酔っぱらいの大人目当ての品揃え だろうか。

 般若おかめが、 満開の桜の下を走る。
 考えてみると、 なかなかに シュールな光景 である。
 調子をこいて、 なにやら 珍妙な踊りを踊っている写真まである。
 何を考えていたのであろうか。
 否、 きっと何も考えていなかったに違いない。
 桜の花は、 へんに高揚感をあおるところがある気がする。


 花には、 空に向かい、 上に向かって咲くものと、 うつむくように咲くものがある。
 は 下から見上げても、 横から眺めても、 同じようにである。
 全方位から鑑賞が可能なのだ。
 そこが、 豪華絢爛 な印象を与えるのではないか、 と思うわけである。



 そして、 川風が吹く。

 いっせいに花びらが舞い落ちる。

 周りの空気ごと、 桜色に包まれる。

 般若とおかめも、 桜色に染まる。

 夢のような ひととき である。


 普通の花は、 咲いている姿が 美しい。
 桜は、 散りゆく姿が さらに美しい。




25へ☆☆☆27へ

にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
1214:桜の下を走る by ごろぉ on 2013/03/24 at 07:48:54

おはようございます。
気のせいじゃないと思うな、
高揚感をあおるところがあるのは。
般若とおかめが、
満開の桜の下を走る。 いいねぇ。ごろぉ

1215: by 次席家老 on 2013/03/24 at 11:13:18 (コメント編集)

すごい!
3歳と8歳の姉妹が,
般若とおかめの面で,
桜の下を走り回る・・・。
露天のお面といえば,
ふつう,仮面ライダーでしょ!

1216:Re: 桜の下を走る by しのぶもじずり on 2013/03/24 at 13:56:43 (コメント編集)

ごろぉ様 こんにちは。

小さな子供だとメルヘンですが、大人だったら怖いですよね。
狂気を感じるんじゃないでしょうか。
子どもと大人、同じ生き物なのに、どこで切り替わるんでしょう。
面白いです。

1217:Re: ご家老様 by しのぶもじずり on 2013/03/24 at 14:05:44 (コメント編集)

> 露天のお面といえば,
> ふつう,仮面ライダーでしょ!
そうそう。
それか、「二十世紀少年」のように、ウルトラマンとかですよね。
たぶん、人気のキャラは売り切れていて、他にろくなものがなかったからだと思います。
そういうつまらない理由で、案外、面白い現象が起こったりしているのかもしれません。

▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア