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天州晴神霊記 第二章――4


「帝って どんな方なのかしら」
「俺も会ったことがないから、 宮中のお姉さん方に聞いてみたんだ。
 でも みんな笑い転げるばかりで、 よく分からなかった。
 変な人らしい。 あっ、 そうだ。
 大きな神事の時には、 宮中から大神殿までの短い道のりを 行幸(ぎょうこう)なさるらしいから、
 輿に乗ったお姿が 拝見できるらしいぞ。
 近々なんかあったような気がする。 なんだっけ」

 思い出せない志信は 簡単に諦めると、 通りかかった地元の人らしい小母さんに 早速声をかけた。
 気の良い人なのか 志信が上手いのか、
 火伏せ神事の日時を丁寧に教えてくれたばかりか、
 どの辺りにいれば お姿が見えやすいかも指導してくれた。
 人懐こい美少年は便利である。

「明日だってさ。 ちょうどよかったな。 見に来るんだろ。
 この辺より 神殿の近くが見えやすいらしい。 そっちで見物しよう」
 うなずいて 斎布は大きな門を振り仰いだ。

 正門は 一条路門と呼ばれている。
 華美な装飾はないが、 精緻に材を組み上げた 大きく力強い二層の楼門は、 充分に勇壮で美しい。

 と、 そこに駆け込む若い男がいる。
 何もかもが小作りで、 ただでさえ ぺったりとした猫っ毛を、 さらに撫で付けてきっちり括り、
 顔も てるてる坊主に点と線で目鼻を描いたような、 そこはかとなく珍妙な印象だが、
 声ばかりが やたらと可愛らしい。
「おはようございま~す」
 門番に声をかける。

「おはようございます、 十三彦様。
 今日は 左大臣様なみに遅いご出勤ですね」
 門番は、 大声で陽気に挨拶を返した。
「御用を一つ片付けてきなのですう。 じゃあね」
 片手をひらひらと振って駆け抜け、 まっすぐに奥へと向かっていく。
 その先には、 優美な建物があった。

 いくつかある棟が 渡殿(わたどの)で繋がっている様子が見て取れる。
 勇壮な一条路門とよく似合って、 やはり美しかった。




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