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赤瑪瑙奇譚 第三章――1



 目的を果たした ユキアは、 単身 マホロバの城に 帰りついた。

 季節の生り物を献上しようと、辺境から来た団体さんに紛れて、 城の中に 忍び込む。
 目立たない修行を積んだユキア には、造作も無いことだった。

 お姫様に戻って メドリを安心させ、 さて、 次は セセナの部屋に行こうとしたが、 城内が あわただしい。
 まずは メドリを遣って、 様子を うかがわせた。
 なかなか 帰ってこない。

 随分経って、 なんともいえない顔で 戻ってきた。
「マサゴ王国の第二王子、 タマモイ殿下が いらっしゃったようです」
「あら、 何をしに?」
「人質になりに いらしたとか……。
 それが なんともド派手な若君で、 ビラビラの わけの分からない お衣装と、
 みょうちきりんに結い上げた御髪(おぐし)、 新装開店の看板みたいな殿下です」

 ユキアは絶句した。 想像がつかない。
 そこに、 ふわりと怪しい人影が 入ってきた。
「そこまで ひどくは無かろう と思うがのう」

「どちら様?」
「新装開店の若君とは、 我のことであろう」
 ユキアは、 メドリの話を 理解した。
 噂に聞く歓楽街、 不夜城の妓楼でもあれば、 看板は こんな感じかもしれない。
 とんでもない人質が来たものである。
「お早い お越しですね」
 婚礼の時期に、 という話になっていたはずだ。
「お輿入れの前に、 麗しき姫君を つまみ食いできるかと思うて」

 こいつが言うと 冗談に聞こえない。
「マサゴ王国の トコヨベ王は、 英邁(えいまい)な御方 と聞き及んでおりましたが、
 このように風変わりな王子様がいらっしゃるとは 存じ上げませんでした」 

 対して、 一見 皮肉にも聞こえるが、 そういうまねの出来ないユキアは 本音で応じる。
 果たして、 タマモイ王子は 正確に読み取ったようだ。
 見た目ほど おバカではない。

「子どもの教育には 失敗したようです。 あなたが 『引きこもり姫』 か。
 なるほど 噂とは 当てにならないものでおじゃる。 ふ―ん」
 怪しい流し目を残して 去った。

「い、 いまどき、 おじゃるって……、 また ややこしいのが……」
 メドリが、 ひきつけを起こしそうになっていた。

 メドリが落ち着くのを待って、 セセナの部屋を訪れたが、 部屋の主は 留守だった。
 タマモイ王子に 連れ出されたらしい。

「ま、 まさか、 もうつまみ食い……」
 思わず口走ったメドリを、 ユキアは、他の侍女から見えないように 素早く殴った。
 大国の姫君にあるまじき行いである。


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by まとめwoネタ速neo on 2012/05/13 at 17:47:12

 目的を果たした ユキアは、 単身 マホロバの城に 帰りついた。 季節の生り物を献上しようと、辺境から来た団体さんに紛れて、 城の中に 忍び込む。 目立たない修行を積んだユキア...

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