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泣きわめく子ども  5

 いさ子は 教科書を開いた。
 もらった教科書は、 お下がりとは思えないほど きれいだった。
 新品の本を開いた時の感じがしないから、 誰かが使ったのだろうが、
 どのページにも癖がなく、 シミ一つ無い。
 自分では 絶対に手に入れられない本だと思った。
 どんな上級生なのか知らないが、
 元の持ち主に、 声をかけられなかったろう という気がした。

 授業が始まった。
 恵比先生が前よりも勢いよく、 授業を進めていき、
 いさ子は 教科書を読むように言われた。
 一か所もつかえることなく、 上手に読めた。
 本を読むのは好きだ。
 読み終わって ニッコリしたら、 先生が眉をひそめていた。

 どことなく他人行儀な教科書のおかげで、 授業は不自由なく進められていった。
 いさ子も、 他の子と同じように、 授業で当てられるようになった。
 やっぱり 気が楽になったが、 気のせいか、 難しい問題がよく当たる。
 ちゃんと答えても、 先生が不機嫌になる気がするのは なぜだろう。


 級友と普通におしゃべりができるようになった。
 休み時間には 一緒に遊ぶようになった。
 前の学校では弁当だったから、
 給食の、 特に脱脂粉乳には、 なかなか馴染めなかったが、
 他に困ることは何も無かった。
 土手の「隠れ家」に行くことはなくなった。

 それなのに、
 不思議なことに 授業中の居心地の悪さは消えない。


 ある日、 小テストがあった。
 他の子たちが文句を言ったから、 いつもとは違う展開なのだろう。
 教科書が無くても、 授業を一所懸命に聞いていれば、 案外分かるものだ。
 なあんだと思った。
 一つだけ どうしても解らないのがあったが、 こんなものだろう。
 まずまずの点数だったのに、
 答案用紙を返される時、 先生が苦虫をかみつぶしたような顔をした。
 満点を取らないと駄目だったのだろうか。



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コメント
1134: by ごろぉ on 2013/02/20 at 21:03:55

ぬfufufu・・・
読んでますぜぃ。
今度は 落とさなイョ。
なかなか じゃねぇですか。

ぬfufufu・・・  ごろぉ

1135:Re: かじがや ごろぉ様 by しのぶもじずり on 2013/02/20 at 23:01:49 (コメント編集)

時代設定を、他の作品よりだいぶん進ませました。
いきなり作風が変わった感じ?
今でも、教科書を買うのも大変という場所が世界のあちこちにあるのかな。

あいだが抜けてるので、幕末風のも考えてみようかな。
あははは、いつになるやら。ネタはおぼろげ。

どうも、現代物は 私には難しすぎるみたいです。
携帯電話が邪魔。
次々と、新しいものや新しい事象が 出ては消えするので、
逆に、中途半端に古臭い感じになりそうで。

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