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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――6


「だろ。 間抜けな感じがして嫌なんだよね。
 無理難題とか押し付けてさ、
 出来たら くれてやろうじゃないか、 って言いたいわけよ。
 そのほうが格好つくし。
 でも 思いつかないんだ。 なんか無いか、 無理難題」

「うーん。 逆立ちして 三回まわってワンていうのは?」
 丈夫で長持ち主婦が、 てきと―に言ってのける。
 こんなことで グダグダ長話をされてはかなわない。
 さっさと夕飯をすませて欲しい。

「簡単に出来ちゃいますけど」
「うむむむむーん。 女装して お酌するとかは?」
「星白の母親が、 よく女装させて遊んでいたから、 いまさら平気だろう」
 一郎が、 息子の提案に水をぶっかける。
「平気じゃありません!  …… でも、 無理難題というほどでもないですう」
 無理難題ではなかったらしい。

「なかなか思いつかんなあ。
 一郎さんの頭の上に りんごを載せて、 弓矢で射るってのはどうだ」
「やってみましょうか」
「やめてくれ星白。 そんなこと気軽に言うな! 
 万が一失敗して 拙者のイケ面に傷が付いたりしたら、 婦女子が怖がる」
 みんなで無理難題を考えたが 、誰もろくなことを思いつかなかった。

「すいません。 僕にも思いつけません。
 ……じゃあ、 お仕事のお手伝いをするってどうでしょう」
「仕方が無い。 それで手を打とう」

 切り出された石は きれいに整えられ、 馬が引く荷車で 近くにある小さな港まで運ばれる。
 そこから船で各地に送るのだった。
 次に出る船に乗せる分まで手伝うことで話は決まった。

 しかし、 相手は石である。
 力の無い星白にとっては、 立派に無理難題だった。
 まともにやっていては 手伝いどころか足手まとい以外の なにものでもない。
 方針を変えることにした。

「竜神丸三号」で ほどよく攪拌(かくはん)された脳みそを駆使し、
「星白博士の万物考察記全十三巻」に刺激をうけて、
 石の積み下ろしに使う 新型の可動式櫓(やぐら)を造ったのだ。
 定滑車と動滑車を組み合わせ、 少ない力で石を持ち上げることが出来る。
 運搬作業は 飛躍的に楽になった。
 石屋は大いに喜んだ。


「これで格好がついた。
 俺が 無理難題を出したことにしてくれ。 頼む」

 石屋の親方に こっそり耳打ちされて 星白も嬉しかった。
 宝珠の力無しで 人の役に立てた。



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