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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――5


 宝珠の祈りが効いているのだろう。
 一百は 元気なのはもちろん、 びっくりするほど悪運が強くて 怪我一つしない。
 父親としては、 娘には無事に育ってほしいのだ。

「それは大丈夫です。
 一度叶えられたお願いは、 宝珠を手放してもそのままです」
 すかさず星白が請合う。

「本当なのか。 心配だなあ。 せっかく元気に育っているのに」
「あのう、 麻本呂婆王国の南に 広大な砂ばかりの荒地があることは知っていますか」
 突然 星白が話題を変えた。 彼も必死だ。
「おう、聞いたことはある」

「めちゃめちゃ広い上に 砂しかなくて、
 目印も無いので、 迷い込んだら 動物も人も乾き死にする所です。
 雨も少なく、 たまに降っても 砂にたちまち吸われて川もありません。
 何十年も前の話ですけど
 一人の家出した不良娘が、 その荒地に迷い込んだそうです。
 出られなくなって、
 疲れと乾きに死ぬかと思った時、 ちょうど 倒れた砂地に黒宝珠があった。

 不良娘は 卵形宝珠の伝説を知っていたけれど、
 そんなものは ただの伝説だ。 実際にあるわけがない。
 本物だったら 話が出来すぎだ と思った。
 でも 他にどうしようもないのは明らかでした。
 自棄クソで 最後の力を振り絞り、 祈ったのです。
 『この場所に 枯れることの無い泉を、 今すぐ出しやがれ!』
 たちまち泉が湧き出て、
 娘はずぶ濡れになりましたが 死なずにすんだようです。

 食料として持っていた胡枇(ごび)の実は 食べてしまっていましたが、
 種を捨てずに持っていたので、 泉の傍に植えました。
 胡枇の木は 大きく育って目印になり、
 今も泉はあふれ出て、 迷い込んでも死ぬ人は減りました。

 宝珠は 祈りを叶えると 千日で消えると伝えられています。
 不良娘が まだ婆さんになって生きているとしても、
 宝珠は 消えているはずです。
 でも 泉は消えていません。 だから大丈夫です」


「んー、 大丈夫なのは分かった。
 だがな、 宝珠ってのは 世界も救える大層なものなんだろ。
 はいどうぞ とやちゃったら、 俺って お人よし過ぎないか」

「確かにそうですね」
 星白が うっかり同意する。



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