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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章――4


「お願いがあって 待たせていただきました」
 声を聞きつけて 先ほどの主婦が出てくると、 成り行きを説明した。

 家の中に通された星白は、
 卵形宝珠のこと、 全部集めようとして旅に出たこと、 いま四つ集まったことを熱心に話し、
 最後に こう締めくくった。
「世界を救う為に、 是非、 是非、 お手持ちの宝珠を譲ってください。
 お願いします」
 二人のいかつい男たちは 目を点にした。
 そして ゆっくり顔を見合わせ、 なんともいえない顔をする。

「………… 世界を救うのか……………… おまえさんが……」
 石屋の息子が おもむろに口を開いた。
「はい」
「……良いお返事だ……」
 でもこの青年で大丈夫なのか という言葉を飲み込んだのが、 星白以外にはバレバレだ。

「うちにあるのは赤だ」
 今度は 星白たちがびっくりする番だった。
 そういえば お願いをした時、 胸に抱きしめていた。
 誘拐犯に間違えられてひどい目にあった後だっただけに、 光ったかどうか見ていない。
 贋物だったのか。
 誘拐事件は この世から消えてはいないのか。

「ここにあるのは 本物なのだな」
 一郎がこっそり聞いた。
 星白はきっぱり頷く。

「ほれみろ、 やっぱり光ったんだ」
 それまで黙っていた父親が 得意げに大声を出した。
「わしをボケたと言いおって。 あの時 本当に光ったんだ。 ざまア見ろ」

「お願いをしたのですか」
 星白の問いかけに 石屋は嬉しそうな顔を満面に浮かべる。
「おうよ。
 孫の一百(すもも)が生まれた日に、
 李(すもも)の木の上から 頭に落っこちてきたんだ。
 えらい痛かったぞ。
 そしたら生まれたと知らせが入ったもんで、 持ったまま駆けつけたと言う訳さ。
 産屋(うぶや)の外から 赤ん坊の産声を聞きながら、
 孫が健やかに育ちますように と祈ったら、 そいつが赤く光ったんだ。
 嘘じゃないし、 ボケてもいない。
 お守りにと思って とってある」
 石屋の親方は ここを先途とまくしたてた。
 誰に言っても信用されず、 ついには ボケたとまで言われて 心に傷を負っていたのだ。

「一百ちゃんというのは、
 庭で遊んでいた 可愛いお嬢ちゃんですかな」
 一郎は そこが気になっていたようだ。
「可愛いだろう。 二歳半を過ぎたところだ。 おしゃまなお年頃だ」
 石屋も 相好を崩す。

「二歳八ヶ月です」
 嫁が 口を挟んだ。
 息子もニコニコしていたが、 ふと思いついたように言った。
「親父、 悪かった。
 ということはだ。 一百のお守りを他人にくれてやったら まずいんじゃないのか」



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1094:管理人のみ閲覧できます by on 2013/02/06 at 01:09:09

このコメントは管理人のみ閲覧できます

1095:Re: 鍵コメ様 by しのぶもじずり on 2013/02/06 at 19:57:49 (コメント編集)

私が見落としていただけです。
すいません。おきてがみの「ことづけ」ちゃんと届いていましたよ。

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