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蜻蛉の願いはキンキラキン 第十章 紅野の決闘――1


 一方、 知恵熱がなんとか治まった星白も、 蜻蛉羽王国を目指して 旅を再開した。

 多少知恵のついた星白は、 小さな車輪を付けた台車を作り、
 「星白博士の万物考察記全十三巻」を載せ、 紐を付けて引っ張ることにした。
 引けない時用に、 背負子のように背負うことも出来る工夫がされている。
 山里の村では 材料も 道具も不自由しなかった。


 港に着いてみると、 穏やかならざる空気が港町を支配している。
 船が海賊に襲われ 殺気だっていたようだ。
「あのう、 蜻蛉羽王国に行きたいんですけど、 船は出るんでしょうか」
 恐る恐る訊ねた星白に、 港にいた男から あっけない答えが返った。
「おう、 出るよ」

「ああ良かった」
「当ったりめえだ。 海賊ごときで欠航したんじゃ 海の男の名折れだ。
 だけど 客は減るな。
 海賊ごときに怯えていられるか という剛の者か、
 怖くても 行かなきゃならねえ用事のある客しか乗らねえ。
 今なら空いてるぜ。 お客さんはどっちだ」
「えーと、 両方かな」

「かなってかい。
 まあ、 どっちにしろ乗ってくれや。 命の保障はしないけど」
 威勢の良い海の男も、
 まさか 頼りなさそうなこの青年が 世界を救う気満々だとは想像もしていない。

 蜻蛉羽王国の和平薙港行きの船は、 中型の仕事人用快速船「竜神丸三号」、
 名前は勇ましいが、 古いボロ船を独自改造した姿は 珍妙である。
 数少ない乗客も 皆一癖ありそうな奴ばかりだ。
 星白たちが乗ると 波を蹴立てて出港した。

 見た目よりちゃんと走るどころか 意外に速い。
 しかも 操舵が荒く、 恐ろしく揺れる。
 海賊に襲われること無く 和平薙港に着いたが、 星白は 無事にとは言いたくなかった。
 船酔いの上、 あっちこっちに転がったせいで 体中がガタガタになっていた。
 知恵熱から回復した脳みそも 攪拌された気がする。
 世界を救うのは 楽ではないのだ。

 しかし、 攪拌されたおかげで、 星白の脳が うまい具合に整理されたようだ。
「あああああああ、 蜻蛉さんも 宝珠を探していたんだ!」
 ここに来て やっと旅の迷走の意味に気がついた。
 村長が死んだ後、 突然山里の村に執着しなくなったのは、
 村にあった宝珠が消えたからだ。
 宝珠の気配とともに消えたのは、 蜻蛉と桜の二人だけである。

 行く先々で遭遇していた理由も それだろう。
「蜻蛉さんも 全部集める気なんだ」


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コメント
1085: by キョウ頭 on 2013/02/02 at 21:53:44

あ…やっとこさ気付きましたネw

1087:Re: キョウ頭様 by しのぶもじずり on 2013/02/02 at 23:13:34 (コメント編集)

遅いっちゅうねん。

第十章が最終章になります。
次はもう少し賢い子を登場させたいんですけどねえ。

1088: by lime on 2013/02/03 at 02:17:28 (コメント編集)

ああ、私も同じことを思いました。
今かい。と(笑)

いくら星白でも、宝珠は、譲れない・・・かな?

1090:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2013/02/03 at 18:32:46 (コメント編集)

すいません。アホで。

そろそろ気が付いてもらわないとね。
腹黒コンビニ対抗できませんから。
それにしても、遅い!

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