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蜻蛉の願いはキンキラキン 第九章――8


「あっ、 軽くんたちは降りるの? 
 あたしは 蜻蛉羽の和平薙(やわなぎ)まで乗っていくんだ」

「へえ、 優雅なんだね。
 直行便の…… なんて言ったっけ…… あっ 「ランランかもめ丸」じゃなくて、
 わざわざ遠回りして この船で行くなんて。 じゃあ、 お別れだね」
「うん、 残念だ」

 瞬く間に海鳥の姿が増え、 「田板十八号」は 港に入っていった。
 港には 真菰国と真砂州の旗が海風にハタハタと翻っている。
 確かに逆戻りしてしまったようだ。

 桟橋に着いた船から、 乗客の半分以上が降りていった。
 軽彦たちも手を振りながら 名残惜しそうに降りていき、
 最後に 三人組みの泥棒も 引き摺り下ろされていった。

 桜は それを見ながら考える。
 もしかしたら、 あの兄弟は 宝珠の計らいにより、 旅の安全を守る役目を負わされていたのだろうか。
 だとしたら この先はどうなるのだろうと。

 荷物の積み下ろしが終わっても、 港と船員の様子が慌しい。
 何かあったのだろうか。
 行き交う船員の一人を捕まえて 問い詰めた。
「何かあったのか」

「他の船が 海賊に襲われました。
 鷹便で知らせが届いたそうです。
 でも大丈夫。 田板商会が護衛に雇った用心棒が乗ってくれますから 安心してください。
 蜻蛉羽海軍も 海上警備を強化しました」

「襲われたのは どんな船なんだ」
「ランランかもめ丸という客船です。 身包み剥がれたとか」
 ばたばたと去って行った船員を見送り、 蜻蛉がつぶやいた。
「あは、 宝珠の導きってやつ?」

 ぽつりぽつりと乗船する客が乗り始めたが、 不安を隠しきれない顔もある。
 乗船を取りやめた客も 少し居るようだ。
 そんな中から 陽気に手を振る男が居た。
「おお、 愛しの桜さんではありませんか。 またまた運命の出会いだ」
 いわずと知れた 八尺だった。
 他の乗客とは違い、 怯えは微塵も無い。
(そういえば、 あいつは腕っ節が強いんだった。 あれも宝珠のお守りだったのか?)
 うんざりしながらも、 半ば諦めの境地に至った桜であった。

 最後に 目つきの鋭い用心棒たちが乗り込み、 船は再び大海原に乗り出した。
 八尺は用心棒ではなく、 そうは見えないが 一等船客だった。


                          第十章につづく


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コメント
1538: by レバニラ on 2013/08/04 at 14:02:19 (コメント編集)

どうも、こんにちはです、
随分と時間が開きましたが、ようやく第九章、読了しました。

前回の引きで「勘定が合わない分の宝珠はどうなったのか? もしや誰かが偽物を掴まされたか?」と、気になりつつ読んでみたら、
あれ? 船中でゲロゲロになって泥棒捕まえて、それで終わりなの!?
・・・と、間違って(?)遠回りの船に乗って一度目的地とは別所に行ってしまった蜻蛉ちゃんと桜さんみたいな気分になりましたが
しかし、これも必要な遠回りなのかもしれない、
もしかしたら海賊と宝珠を巡ってドッキドキの展開が待っているのかもしれない、
軽彦くん達が次回の重要なキャラクターになるのかもしれない、
そんな期待をしつつ、今日はこれから昼仕事なので、この辺で失礼します(^^ノシ

1540:Re: レバニラ様 by しのぶもじずり on 2013/08/04 at 18:04:41 (コメント編集)

えーとですね。
「旅の安全を、速攻で」という茶色宝珠へのお願いが発動しちゃったわけなのです。
ランランかもめ丸に乗っていたら、守ってくれる人も現れず、海賊に身ぐるみはがれていたことでしょう。
そういうことになっています。
軽彦君たちは、宝珠が計らったガードマンということで、一つよろしく。

お仕事ご苦労様です。がんばってください。
お忙しい中、ありがとうございました。

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