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蜻蛉の願いはキンキラキン 第九章――7


 そうこうしているうちに 船員たちが駆けつけ、
 悪党どもは摑まって、 港に着くまで 船倉の小部屋に閉じ込めておくことになった。

 痲本呂婆からの使者というのは、 真っ赤な嘘だと判明した。
 泥棒を捕まえたお礼にと、 蜻蛉は空いてしまった一等船室を提供され、
 もう 入道雲でごまかさなくても 上甲板に上がれる身分に昇格した。

 飛早戈(ひそか)と軽彦の兄弟とも 仲良しになった。
 二人は 修行の旅をしているらしい。 道理で強い。
 三人の活躍が 船内でも評判になり、
 悪さを企んでいた者がいたとしても、 実行に移そうとする乗客はもういなかった。

 良い天候にも恵まれ、 のどかな航海を楽しんでいた。
 やがて 海鳥が飛んでいるのを見るようになり、 田板十八号は陸地に近付いていった。

 その頃になって やっと気づく。
「あれっ?」
 上甲板で 気持ちよく潮風に吹かれていた蜻蛉は 固まった。
「どうした蜻蛉」
 ほとんど船室にこもりっきりだった桜が、 珍しく甲板に出てきたところだった。
 もちろん、 日除け対策万全の重装備だ。

「宝珠が遠ざかっている。 どしたんだろ」
「ふん、 今頃気づいたのかボケ。 もうすぐ 真砂(まさご)の港に着くようだ」
「何で。 何で真菰(まこも)国に戻っちゃったんだ。 蜻蛉羽王国じゃないのか」

「係りの話をきちんと聞かないから こういうことになる。
 この船は、 真砂経由だ。 えらく遠回りになったな」
「知ってたなら教えてくれよ」
「出航してから おかしいことに気がついたんだ。
 まともに聞くのは恥ずかしかったので、 ボケ老人のフリをして船員に尋ねた。
 だが、 すでに大海原のど真ん中にいては どうしようもあるまい。
 遠回りにはなったが、 蜻蛉羽には行く。 このまま乗っているより他ない」

 せっかく 星白たちを出し抜いて先を急いだというのに、 何たることだ。
 二人は じと目で互いを睨みつつ、 無言の時が流れた。

「蜻蛉さーん、 もうすぐ着くよ。 降りる支度はいいの」
 軽彦が 陽気に声を掛けてきた。



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