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蜻蛉の願いはキンキラキン 第八章――12



 黄色宝珠は、 祠の裏、 野良犬の戦利品を蓄えた穴に埋っていた。

 黄色い犬との決闘に勝利を収めた蜻蛉が、 穴を掘ると、
 村の各所から盗んできたらしい 雑多なガラクタで 埋め尽くされていた。
 邪魔だとばかりに放り投げたのだ。
 村長の死因には、 確実に 蜻蛉も一枚かんでいた。
 眞に不幸な偶然の重なりといえよう。

 悪気のない行為と、 ささやかな善意が、 人を殺すこともあるのだった。
(世界を救うのは、 もしかしたら、
 とっても とっても難しい………… のかもしれない)
 星白は、 考え込んでしまった。


 その夜、 星白は熱を出した。
「どこか痛いところはあるか。 吐き気は?  何処が苦しい?」
 まじないで 少しは楽にしてやれるかもしれないと、 桜は聞いてみた。
「体におかしいところは無いみたいです。
 …… でもう………… 頭の中が ぐるぐるですう」
「ふん、 知恵熱だな」
 桜は まじないを取りやめた。



 あくる朝になっても 熱は引かなかった。
「…… ジャガイモは …… お金持ち ………… 魚は …… 王 ………… さま」
 わけのわからない うわごとを言い続ける。
 「星白博士の万物考察記・全十三巻」 を背負っていた 旅の疲れも重なっているようだ。



 そんな星白たちを置いて、 蜻蛉と桜は出発した。
 邪魔だった『金銀財宝のありかに我を導きたまえ』が消えたので、
 向かうところ敵なしである。
 意気揚々とした旅立ちだった。

 村はずれで、 宝物をすべて無くした黄色い野良犬が、 しょんぼりとうろついていた。

 蜻蛉から話を聞いていた桜は、 ふと思い立ち、
 荷物から 虚空みやげの玩具の黄色宝珠を取り出して、 ポイと投げてやる。
 犬はのそりと近づき、 臭いを嗅いで、
 少し不満そうながらも お愛想で尻尾を振り、 二人を見送った。
 言葉が話せたなら、 彼にも 願い事があったのかもしれない。


 仕事人用快速馬車直行便を乗り継いで、 最速の行程を選ぶ。
 女神像発見の礼金も残っているし、 于鉧の弾き語りで貰った小銭もあった。
 軍資金に問題はない。
 目指すは、 麻本呂婆王国最大の港町。
 外国航路の船が着く港だ。

 桜が持っている玩具宝珠は、 これで 残りが四つになった。
 白、 赤、 紫、 青だ。
 星白が持っているのと同じだ。

 蜻蛉が手に入れた宝珠は、 黒、 茶、 緑、 黄 の四つ。
 卵形宝珠は、 全部で八つ。
 …… 勘定が合わない。


                          第九章につづく




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コメント
1200: by レバニラ on 2013/03/11 at 23:39:42 (コメント編集)

どうも、こんばんはです、
第八章、読了しました。

おお!
と、ミステリアスな幕引きに思わず身を乗り出しそうになりましたが、
よく考えてみたら、最後の一行を読むまで「桜さんのお料理ウンチク」を読んでは膝を打ち、
村の人たちの会話を見ては「麻本呂婆王国の方言ってこれ名古屋弁じゃあ・・・」と、小さくツッコミを入れたりしていて、
宝珠の数が合わないなんて事、すっかり忘れてました(^^;

ああ、そういえばこの間お話したチューリップの球根ですが、家に植えてるチューリップの球根は観賞用なので食えないみたいです。
観賞用の球根はジャガイモの原種みたいに灰汁が強いのかな?

1201:Re: レバニラ様 by しのぶもじずり on 2013/03/11 at 23:58:00 (コメント編集)

いらっしゃいませ。

観賞用チューリップの球根は食べられないのですか。
ちょっと残念です。

誰も宝珠の数なんか気にしていないと思ったので、しっかり書いておきました。

ところどころに追記で「方言解説」を入れてあります。
気がついたかしら。
お察しの通り、名古屋弁だがや。

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