RSS

蜻蛉の願いはキンキラキン 第八章――9


 何事かと声のした方に進んでいくと、
 同じく聞きつけた星白と一郎もやってきた。
 数少ないながら 村人たちも、 あちらこちらから集まってきた。

「村長に 何がありゃーした」
「どえりゃあ声がしたがや」
 村人たちの声からすると、
 村長の家らしい普通の小屋に、 集まった人たちが入っていく。
 四人も興味を引かれて 覗き込んだ。

 中にいた 年配の女性がおろおろしていた。
 手伝いに来ていた隣のばあさんだ。
「死んでまったがや」
 村人たちは騒然とした。

「朝は元気だったに、 急に逝ってまったがや」
「どえらけにゃあことだがね。 何がありゃあした」

 口々に問われて、 ばあさんが説明したところによると、
 黄色い泥棒犬が、 何を思ったか 突然小屋に飛び込んできたらしい。
 のんびりと日課の青汁を飲んでいた村長は、 犬に飛び掛られるようにして倒れた。
 ばあさんが様子を見にいくと、 すでにこときれていたという。

 盗みを働く性悪な野良犬ではあるが、
 人に向かって本気で襲い掛かることは、 今までには無かったことだと村人たちは驚いた。

 星白が倒れた村長に近づき、 体を検めた。
「確かに、 亡くいなっています。
 特に、 噛み付かれたような傷は見当たりませんから、
 驚いて 心臓の発作を起こしたのではないでしょうか」

「村長は 心臓がちいっとばかり弱かったがなも、
 びっくりして死んでまうほど悪いとは思っとらんかったがや。
 薬嫌いだったが、 変わりに青汁は 毎日欠かさず飲んどったでね」
 近所の爺さんが話す傍で、 手伝いのばあさんが うんうんと頷いている。

「あれっ?  変わった匂いのする青汁ですね。
 これは!  毒……?」
 空の茶碗を嗅いでいた星白が、 物騒な事を言いだした。

「じゃあ、 村長は殺されたがや」
「えりゃあ事だがね。 村長毒殺事件だがね」
「犯人がおるっちゅうことがや。 おそぎゃあ事だがね」
「名探偵を探すぎゃあ」
「おそぎゃあ、 おそぎゃあ」

 村人たちは、 しなびた村長の遺体の前で、 ぎゃあぎゃあ言いだした。
 うるさい。



戻る★★★次へ




<麻本呂婆国西南地方の 方言講座>

         どえりゃあ → 大変だ

         どえらけにゃあ → どえらいの比較級。とっても大変だ

         おそぎゃあ → 恐ろしい          



トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア