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赤瑪瑙奇譚 第二章――5



 翌日、 ユキアとホジロは、 朝早くから押しかけてきたカムライに 引っ張り出された。

 三人を乗せた二頭の馬は、 北へ向かって駆けた。
 早朝から休むことなく 駆け続け、 日が中天に懸かる頃、 目的地に着いた。

 一見 のどかにも見えたそれは、 砦の跡だった。
 近付いて見れば、 武器が当たって付いたのだろう 多くの傷があり、 折れて 刺さったまま残る矢もある。
 焼け焦げた跡、 不器用な修理の跡、 戦場の様が 今なお窺い知れる 荒れた建物だった。

 馬から下ろされたホジロは、 ばったりと倒れこんだ。
 息が 上がっている。
「もう、 駄目です。 休憩しましょう」

 二人が、 川辺で 馬に水を飲ませ、 草地に繋いで 戻ってきても、 まだ起き上がれない。
「昼飯にしよう。 あ、 あそこが いいかな」
「いったい ここは 何処なんだ」
 青息吐息で 引きずられていく ホジロが聞いた。

「川の向こうは マサゴ王国だ」
 元は 辺鄙(へんぴ)なただの田舎だったが、 マサゴが 攻める為に 軍を通す道を開き、
 コクウが 迎え撃つ為に 砦を建てた。
 ここに 大きな橋を架ければ、 両国を行き来する 交通の要所になれるはずだ。
「いい考えだと思うのだが、 どうだろう。 我が王都から 一番近い国境だ」

 カムライは 三人分の昼食を しっかり用意していた。
 男たちが 食事を取りながら 話し始めると、 ユキアは 自分の分を持って、 その場を離れた。
 砦の陰に 向かって行く。
「あれ?  何処に行くの」
「顔を 見られたくないんだよ。 放っといてあげて」
「何故だ」
 タヅムラにしたのと 同じ言い訳をしてみる。
「そんなことは 気にしなくていいのに」

 この反応からすると、 やっぱり あの時も 顔を見てはいないようだ。 

 追いかけようと 立ち上がりかけた カムライを止めて、 ホジロは 聞いてみた。
「随分 ユンが気に入ってるんだね、 顔も知らないのに」
「おお、 もちろん大好きだ。 理由は聞くな。 自分でも分からん。
 でも、 運命を感じるのだ。生まれる前から 魂が知っていたような、 そんな感じだ。
 ま、 まさか、 ホジロは ユンと仲良しなのか」

「うん、 だって僕の助手だよ。 今回だけの 臨時だけどね」
「恋人では なかろうな!」
「違うけど……」
 あからさまに ほっとしている カムライを眺めながら、 聞こえないように呟く。

「運命か……、 ちょっと ずれてるところが 問題だよなあ」


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