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蜻蛉の願いはキンキラキン 第八章――3



「星白は 虚弱体質なのか。 知らなかったなあ。
 よし、 元気が出るように、 音楽で励まそう」

 蜻蛉は 久しぶりに背中から四弦琴を下ろし、 弾き始めた。
 おまえのせいだとは、 三人ともツッコミ損なった。
 雨上がりの公園に 四弦琴の音が流れる。
 木々の葉に溜まった雫が キラリと光って落ちた。

 三々五々に人が足を止めはじめ、 気がつくと いつの間にか人々が集まって耳を傾けていた。
 演奏を終えた時には、 結構な小銭を稼いでいた。
「おお、 あたしの四弦琴は、 こんなに大きな町でも通用するのか。
 やっぱり天才だったのかもしれない」


 上機嫌な蜻蛉とはうらはらに、
 宿に着いて ぐったりしている星白を哀れんで、 桜は強引に蜻蛉に旅の続きを促した。
「やだあ、 まだまだ見たい。 于鉧に居たい」
 ぐずる蜻蛉を一喝する。
「そんな事を言っていたら、 何ヶ月もかかる。
 世界征服はどうした。 成功すれば、 この町のすべても おまえの手の内に入るのだぞ。
 そのほうが なんと言っても手っ取り早い」
「確かに 手っ取り早いのは好きだけど……」
「それなら、 先に進むのだ。
 星白も そのうち我に返って、 さっさと宝珠探しを再開せんとも限らん。
 そうなったら わたしらは置いてけぼりだ。 分かったな」
 しぶしぶ頷く蜻蛉であった。



 星白は、 目的地に少しでも近い所まで 馬車に乗ることを強く主張した。
 直行できる便がなかったからだ。
 かくして 一行は、 麻本呂婆王国の南西を目指して、 ようやく于鉧を後にした。
 馬車を降りた町から さらに歩くことになる。

「待って、 置いていかないでくださ~い」
 星白の悲しげな叫びを後に、 三人はさくさく進んだ。
「拙者はジジイでもあるし、 いざという時には ご婦人方を守らねばならぬ」
 という理由で、 一郎は星白の荷物を助けてやろうとはしない。
 男の孫より 怪しいばあさんと色気皆無の乱暴な娘のほうに懐こうとしている一郎であった。
 本当に 女なら何でも良いらしい。

「お願いですう~。 待ってえ~」
 悲痛な声が遠く離れてしまった時は、 待ってやることも無いではない。
 近所のおばちゃんから貰った塩煎餅を齧り、 お茶までせがんで 談笑しながら待つ。

「星白君が追いついたようだ。 行こうか」
「ええっ~、 待ってください」
 非情な三人組みであった。



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コメント
1023: by lime on 2013/01/11 at 19:10:30 (コメント編集)

なんかもう、星白が不憫で仕方ないです。
この、健気な若者に、いいことがありますように。

って、なんで本なんか、買ってもらうかなあ~(笑)
いや、わらしべ長者のわらのように、化けるんでしょうか?

1024:Re:lime様 by しのぶもじずり on 2013/01/11 at 19:41:35 (コメント編集)

長年交流のある友人から、ドエスだと断言されたことがあります。
そんなことはありません。ええ、ありませんとも。
心やさしい作者でございますです。
きっと、その友人の勘違いに決まっています。

だから、無駄に苛めていないはずです。たぶん意味があるのではないかと思っています。敬具

1025: by キョウ頭 on 2013/01/11 at 21:09:56

「若い時の苦労は、買ってでもしろ」なんて言葉がありましたっけか…。
まぁソレ以前に、この3人オニだww

1026:Re: キョウ頭様 by しのぶもじずり on 2013/01/11 at 23:29:50 (コメント編集)

> まぁソレ以前に、この3人オニだww
やっぱりそうでしょうか。

主人公が鬼。
それで良いのか的展開になってしまいましたが、見捨てないでください。

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