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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――9



 蜻蛉にしても、 こんな重い物を手に入れたところで 処分に困る。
 お礼をくれるというなら そのほうがいい。
 承諾した。


 神社に安置された黄金の女神像は、 しかし 場違いな感じを否めない。
 本来、 神の姿を人間に似せて偶像を作るのは 邪道である。

 鬱金香景気で突然金が入ってしまった村では、 使い道が分からずにうろたえた。
 古くなった家を建て替え、
 役場や商人宿やらの施設を新しく立派にし、
 警邏の人員を増やしたが、
 さらに金は入ってきた。

 調子をこいて、 ついに 掟破りの女神像まで作ってしまったのだ。
 外国(とつくに)を真似たらしい。 金無垢の豪華版である。
 鬱金香長者たちが喜んで金を出し合い、 寄贈したが、
 神社にとっても迷惑な代物だった。

 だが、
 村人たちから鬱金香様と呼ばれ、 村の名物になりそうだった像が見つかったという知らせに、
 物見高い村人たちが 続々神社に集まってきた。
 三年前に、 田吾作という変わり者の鬱金香作りが盗んだ と言われていた。

「しかし 変だなあ。 なして 土手さ埋まってたんだべか。
 考えたら、 あんたら重い物、 田吾作一人では運べねえだべ。
 変わり者だで、 仲間がいたとは思えねえしな」
「んだ、 あの土手は 去年工事をしただに、
 鬱金香様も田吾作も、 いなぐなったのは三年も前だ。
 勘定が合わねえ」

 なるほど、 三年前から土手に埋っていたなら、 工事の途中で見つかっていたはずだ。
 おかしい と首を捻る声が、 ざわめきとなって広がった。

「本当に 田吾作が 犯人だったんだべか」
 一瞬、 村人たちが静まり返った。

「田吾作は なんと言っているのだ」
 桜が聞いた。

「いなぐなっただ。 逃げてしまって、 何処さいるのかもわがんねえ」
「おらは 事件の話を聞くまで、 肥料を買いに出てるんだとばっかり思ってただ。
 球根掘りが終わると、 良い肥料を探しに、 よく他所の土地まで出かけていたからな。
 泥棒したと聞いて 吃驚しただ」

「だども、 盗むところを 権兵衛さーが見たんだべ。
 権兵衛さーは 村一番の名人だ。 鬱金香様を作るときにも 一番たんと金さ出しただ。
 なして そげな嘘をつかねばなんねえだ?」

 一同の視線が、 隅で小さくなっていた権兵衛に集まった。
「…………………… わし…… わしは…………」
 いつも堂々としている権兵衛が、 珍しく自信無さそうに 返答に困っていると、

 こっそり 逃げ出そうとしている男がいた。



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コメント
1006: by キョウ頭 on 2013/01/03 at 22:36:50

あけましておめでとうございます。
昨年は度々ご訪問していただき、ありがとうございました

私も使い道に困るくらい、儲けてみたいですねぇ。
かといって、後々ハジけてしまうバブルは、もうゴメンですがw

今年もよろしくお願い申し上げます

1008:Re: キョウ頭様 by しのぶもじずり on 2013/01/03 at 23:52:32 (コメント編集)

謹賀新年

今年は 巳年です。ヘビは金儲けに良いらしいですよ。
儲けてください。 ぐっどらっく!

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