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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――8




「この村を 水害から守りたまえ!」
 泥が付いたままの宝珠を 高々と掲げ、 叫ぶ声が響いた。

 青い光が 飛び散るように噴出し、 あたりを包む。
 川が、 穴を避けるように不自然に流れを変えた。
 山の上空が にわかに明るさを増してゆく。 宝珠が願いを叶えた。


 まだ水量は減っていないが、 これで村は救われるだろう。
 ほっとして立ち尽くす四人の中で、 桜が 最初に気を取り直した。
「蜻蛉、 おまえは いったい何を掘り当てたんだ」

 宝珠に願った声は、 紛れもなく星白のものだ。
 では、 蜻蛉の「あった!」は 何を指していたのだろうか。
 無論、 気になるところだ。

 茂みの陰から上がった 別の声に気付いて、
 星白と一郎も 興味深そうに近づいた。
「お宝……みたいだ」
 泥を拭ったところから、 黄金色に燦然と輝く色が見える。
 手拭で 尚も泥を除いていくと、 黄金の女神像が現れた。
 額に金剛石まで嵌っている。
 桜は目を瞑って、 呻き声をあげた。

「蜻蛉さん、 すごいですう。 キンキラキンです。
 僕、 こんなの初めて見ました」
 星白が 目を見張る。
「うむむむむう、 きれいな女神様でござる。 お付き合いしたい」
 相変わらず何でもいい一郎でも、 ひときわ目を見張る美しさだ。

 蜻蛉が一人では、 動かすことも出来なかった。
 重い。
 四人がかりで 四苦八苦した挙句に、
 やっと引っ張り出した頃には、 川の水も引き始めていた。

 掘り出してみたものの、 こんなに重いものを どうすればいい。
 途方にくれた一同の前を、 村人が引く大八車が通りかかった。
 小雨も止み、 水も少しずつ引き始めたから、 引き上げるのだろう。
 穴掘りの道具をいくつか乗せただけで、 荷台は空に近い。

「おーい、 ちょっと来て」
 蜻蛉が 手を振って呼び止めた。
 疲れて のんびりと歩いていた村人を、 手招きして呼び寄せる。

 目を上げて 黄金の女神像を見た村人は 仰天した。
「わわわ、 そ、 それを何処で、 何で こんなところにあるんだ。
 大変だあ!」
 洪水を免れたと、 ほっとしたのも束の間、
 のどかな鬱金香の村は 再び大騒ぎになった。

 集まってきた村人たちが、 金の像を大八車に載せて運び、
 小高い山の上にある神社まで苦労して運びあげた。
 蜻蛉たち四人も付いていった。

「見つけて頂いて ありがとうござりす。 御礼はしますだ。
 だども、 これは村の大事な宝だで、 どんぞ、 返してけろ。
 三年前に盗まれただ」

 村人一同が 頭を下げた。



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コメント
1001:おはようございます♪ by みおん on 2013/01/03 at 05:39:41

新年明けましておめでrとうございます♪
昨年は毎日のご訪問ありがとうございました
今年もよろしくお願いします(^O^)

1003:Re: おはようございます♪ by しのぶもじずり on 2013/01/03 at 18:22:02 (コメント編集)

みおん様 
あけおめ! ことよろ!

今年も元気にいきましょう。

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