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蜻蛉の願いはキンキラキン 第七章――2



 雨は降ったり止んだりを繰り返しながらも、
 季節を思い知らせるかの如く 暗い空をしつこく見せ続けた。
 都から離れていくにつれ、 蜻蛉にも 行く先が分かってきたらしい。
 国境の関所を抜けた頃には、
 男二人よりも先に出て歩こうとして、 度々桜に引き戻されることになった。
 麻本呂婆の中央、 東西に連なる山脈の北側を目指しているようだ。

 この時期に 仕事等でどうしても移動せざるを得ない人々は、
 遠回りになっても 馬車でいったん王都于鉧(うけら)に行き、 馬車を乗り継ぐことが多い。
 そのほうが早いし、 楽なのだ。
 だが、 全員が大雑把な一行は、 そんなことを思いつきもしないで、
 ひたすら最短距離を行こうとしていた。
 結果、 どえらく辺鄙(へんぴ)な田舎道や、
 荒地、 森の中、 山道といった 通る人とてない場所を旅することになったが、
 一郎は 桜と蜻蛉に親切だった。
 女なら誰でもいいらしい。
 桜と蜻蛉は 思ったより旅を楽しんだ。


 そんなある日、 桜がふと後を振り返り、 一郎の合羽をつかんだ。
「一郎君、 ここ数日前から 黒ずくめの怪しい奴が付けてきているぞ」
「桜さんも気がつきましたか。
 しかし 追剥(おいはぎ)なら 昨日の午後、 襲うのには絶好の場所を通りましたが、
 何も仕掛けてこなかったところをみると 大丈夫でござろう。
 お二人は私が守る。 ご安心召され」

「確かに いやな感じはしないが、 気に入らないのだ。 あの姿が」
 体つきからすれば 男だろう。
 黒い塗り笠を被って、 真っ黒な外套を着ている。
 おまけに 笠の下は、 頭巾をすっぽりと顔が隠れるほどに深く被っているのだ。

「でも、 ちょっと前まで、 桜さんもあんな感じだったぞ」
 振り向いた蜻蛉が まぜっかえす。
「わたしのは単なる日焼け防止だ。 あいつは明らかに顔を隠している」

 いくら計画性のない四人といえども、 雨の季節に野宿をするほど無謀ではない。
 関所近くの町で手に入れた地図を頼りに、 宿泊できそうな集落伝いに通ってきた。
 黒ずくめの人物も同じだろう。
 だが、 四人を避けているのか、 泊まった町や村で出会ったことはない。
 そうこうするうちに、 目的の場所まで着々と近づいていた。



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コメント
949: by かもしか on 2012/12/24 at 17:41:09

こんばんは。
今日は特別な日。
サンタをソリ乗せてかもしかのプレコメ(プレゼントコメントの略)まわりでした。
もうじきしたら、名前「かもしか」はカモシカ谷の主にお返ししますので。。

950:Re: かもしか様 by しのぶもじずり on 2012/12/24 at 18:20:25 (コメント編集)

いらっしゃいませ。
おお!
プレコメをありがとうございます。
いやあ、寒いのにお疲れ様です。サンタさんに宜しく。

えっ、名前を変えちゃうんですか。ブログ名もハンドルネームも雰囲気が合っていて素敵ですよ。

1392: by LandM on 2013/06/16 at 20:54:23

ちょ・・直線距離かあ・・・。
常人で思いつかないような方法で行くのが流石は珍道中ですねえ。多分10万人中に1人ぐらいでしょうね。そういう直線距離で突き進もうとする人は。ある意味才能ですね。

1393:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2013/06/16 at 22:16:55 (コメント編集)

何しろ、中途半端な「導きたまえ」が頼りですし、
全員、頭が緻密にはできていませんですから。
まあ、こうなっちゃうわけです。
ある意味、残念な人たちでもあります。

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