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犬派のねこまんま 23である     byねこじゃらし

<子どもは風の子 犬派の子>  ――豪雪地帯の思い出である――


 大雪が降った後、 からりと良い天気になることがある。
 そんな日には、 冬の太陽が、 どっさり降り積もった雪の表面を溶かす。
 やがて日が暮れて、 夜の寒さが溶けだした表面を 堅く凍らせると、
 翌朝には、 子どもが走ったくらいでは崩れないほどになるのだ。

 一見 ふんわりと見える雪の上を、 影踏み しながら登校するのが楽しかった。
 畑も田んぼも全部雪の下だから、 広々とした雪の原が 行く先々に広がっている。
 たまに柔らかいところがあって、
 不意に誰かがズボンと雪に埋もれることがあったりすると、 笑い転げた。

 学校に着くと、 校庭 も雪におおわれている。
 ふつうの体育の授業は出来ない。
 そうなった時の体育は、 とりあえず 雪合戦 になる。 おおいに盛り上がった。

 講堂兼体育館もあるが、 裏山でスキーの授業になったりする。
 吾輩もスキー板を買ってもらい、 がんばってはみたものの、
 歩きだしたら次はスキー、 みたいにして育った地元の子にはかなわない。

 テクニックなど知らないから、 どこを滑るのも直滑降一本槍だ。
 同じ傾斜を 同じように直滑降で滑るのだが、 どういう訳だか 速さが全く違うのだ。
 重心の使い方とかなのだろうが、 全く勝てない
 親にねだってワックスを買ってもらい、 せっせと板に塗ったが、 速くならない。
 冬季オリンピックなどで、 とんでもないスピードで滑っているのをみると、
 未だに不思議で仕方がない。
 どういう仕掛けだ。

 学校行事で スキー大会 があった。
 優勝すれば アンパンがもらえる という噂を聞いた。
 アンパンなら 親にねだれば買ってもらえたはずだ。
 スキー板より スキー用のワックスより 安い。
 が、 そんなことは頭になかった。
 優勝の商品となると 別物 だ。

 豪華なケーキよりも立場が上になる。
 アンパン様だ。
 手が届かないと分かっているだけに、 余計憧れた。
 しかし、 どうやらデマだったらしい。 スキー大会にアンパンは登場しなかった。


 さて、 大人は雪掻きをして 真面目に道を歩く。 雪掻きは重労働である。

 どこかのロマンティックなお調子者が、
「ふわふわの綿菓子みた~い」
 と言ったとしても、 雪は重い。 けして綿菓子のように軽くはない。
 雪が降る度に、 雪掻きしては 道を作るのである。


 そうこうしているうちに、 やがて、 いや、 やっと というべきだろう。
 影踏みをした雪の平原に ぽつりとが開く日が訪れる。
 そこから、 雪に埋もれていた ネコヤナギの枝の先っぽが顔をのぞかせる。
 雪が溶けて行くにつれて、 ポツリポツリと出来るから、
 植物が目を覚まして 顔をのぞかせていく。
 雪を溶かすのは、 お日様と春の風ばかりではないのだ。
 ほんの少しずつではあるが、 植物たちの が雪を溶かして行く。
 どういう仕掛けなのかは 知らない。
 命は温かい のだと勝手に思っている。


 一冬 せっせと雪掻きを続けてきた道を歩いていると、 突然、 川に落ちる事がある。
 雪掻きのコースが、 日々 少しずつ微妙にずれていった結果である。
 本来の道から外れて 川まではみ出していたのだ。
 そういう 災難 に遭遇するようになれば、
 本格的な が 手の届くところに来ている。


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コメント
947: by 次席家老 on 2012/12/20 at 11:30:24 (コメント編集)

子どものころの体育の授業。
冬の体育だけはいやだったですね~。
だって,毎日毎日マラソンばっかり。
カードをもらって,その日走った距離を記録していくんですね。朝も昼休みも。
「3組の目標は日本1周だ!」なんて先生は張り切ってましたけど。

スキーは,半世紀以上生きてきて,1度もしたことありません。だってスキー場が・・・ない(泣)

948:Re: 次席家老様 by しのぶもじずり on 2012/12/20 at 17:54:19 (コメント編集)

ご家老様は九州でしたっけ。
南国の方には縁遠い話でしたね。

マラソンはお嫌いですか? 
目標が日本一周って、先生、張り切り過ぎ(笑)
でも、クラス全員分を足したら、案外けっこうな距離になっていたかもしれませんね。
地図に記入していったら、面白かったかも。すいません、いまさら迷惑な提案でした。

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