犬派のねこまんま 4である byねこじゃらし
犬派のねこまんま - 2012年05月04日 (金)
<人間だって 生き物なのだ>
35年前、 奴隷として アメリカに連れてこられた黒人を描いた
「ルーツ」というドラマが 大ヒットした。
日本でもブームになり、 「あなたのルーツを調べます」 とか言って、
インチキっぽい家系図をでっち上げる、 怪しげな商売 も繁盛した。
主人公の クンタキンテという名前も、 けっこう有名になった。
色の黒い男の子の あだ名になったりもしたはずだ。
わーい、 クンタキンテ
人間は時に、 己の過去どころか 先祖まで 気になることがあるらしい。
法事の為、 久しぶりに 故郷を訪れた吾輩が、
「子どもの頃に住んでいた場所めぐり」 を思い立ったとて、 誰が責められよう。
その企画に 両親が乗っかった。
「案内してやる」と、 父が 勝手に ガイドに名乗りを上げた。
迷惑だったが 仕方がない。
日ごろ 親不孝をやりたい放題の娘としては、 ここは 我慢の一手だ。
吾輩が産声をあげたのは、 故郷の町を流れる 川の畔に在る
赤い屋根の産院 であるらしい。
高台にある 虚空蔵さんを祀ったお堂から、 赤い屋根を確認するところから、
思い出の場所めぐり は始まった。
吾輩には、 そこに 思い出なんか無い。
生まれたての赤ん坊に、 無理な期待をされても 困る。
小さな産院で、 生まれたのが日曜日だったことから、 人手が足りず、
吾輩は、 母親が手当てをされている間、 棚の上に 放っておかれたらしい。
人間の赤ん坊だって、 けっこう しぶとく生きる。
ついでに、 吾輩の発祥の地 まで案内されてしまった。
郊外の山にある草地の 緩やかな斜面だった。
吾輩はアオカンで発祥したらしい。
まさか そこまで案内されるとは、 想像もしていなかった。
母は 激怒 した。
怒りが収まらない母を連れ、 ゆるゆると散策していたら、 近くの林で ベニテングタケを発見した。
まるで絵本に出てくる茸のように 可愛らしい水玉模様で、 見るからに メルヘンそのもの。
毒だと知らなくても、 これは食べないだろう と思ったものである。
ヤマカガシの巣を見つけて、 しばし遊んだりもした。
昔は、 ヤマカガシは 毒を持っていない と思われていたのだ。
マムシより強力な毒 がある と判明したのは、
無事に 我が家に帰り付いてから、 およそ 数ヵ月後の 新聞記事であった。
蛇の研究者には、 もう少し早く 仕事をして欲しかった。
おとなしいからといって、 ヤマカガシを侮ってはいけないのだ。
住んでいた家にも行ってみたが、 跡形もない。
何しろ、 当時 すでにボロ家だったから 当然といえば 当然である。
ボロい借家に、 祖母と、 足の不自由な伯父と、 出戻りの叔母と、
両親を亡くした従姉と、 私の両親、
そして 黒猫のロク が居るところに、 吾輩は 生を受けたのであった。
アオカン になるはずでである。
3へ☆☆☆5へ


35年前、 奴隷として アメリカに連れてこられた黒人を描いた
「ルーツ」というドラマが 大ヒットした。
日本でもブームになり、 「あなたのルーツを調べます」 とか言って、
インチキっぽい家系図をでっち上げる、 怪しげな商売 も繁盛した。
主人公の クンタキンテという名前も、 けっこう有名になった。
色の黒い男の子の あだ名になったりもしたはずだ。
わーい、 クンタキンテ
人間は時に、 己の過去どころか 先祖まで 気になることがあるらしい。
法事の為、 久しぶりに 故郷を訪れた吾輩が、
「子どもの頃に住んでいた場所めぐり」 を思い立ったとて、 誰が責められよう。
その企画に 両親が乗っかった。
「案内してやる」と、 父が 勝手に ガイドに名乗りを上げた。
迷惑だったが 仕方がない。
日ごろ 親不孝をやりたい放題の娘としては、 ここは 我慢の一手だ。
吾輩が産声をあげたのは、 故郷の町を流れる 川の畔に在る
赤い屋根の産院 であるらしい。
高台にある 虚空蔵さんを祀ったお堂から、 赤い屋根を確認するところから、
思い出の場所めぐり は始まった。
吾輩には、 そこに 思い出なんか無い。
生まれたての赤ん坊に、 無理な期待をされても 困る。
小さな産院で、 生まれたのが日曜日だったことから、 人手が足りず、
吾輩は、 母親が手当てをされている間、 棚の上に 放っておかれたらしい。
人間の赤ん坊だって、 けっこう しぶとく生きる。
ついでに、 吾輩の発祥の地 まで案内されてしまった。
郊外の山にある草地の 緩やかな斜面だった。
吾輩はアオカンで発祥したらしい。
まさか そこまで案内されるとは、 想像もしていなかった。
母は 激怒 した。
怒りが収まらない母を連れ、 ゆるゆると散策していたら、 近くの林で ベニテングタケを発見した。
まるで絵本に出てくる茸のように 可愛らしい水玉模様で、 見るからに メルヘンそのもの。
毒だと知らなくても、 これは食べないだろう と思ったものである。
ヤマカガシの巣を見つけて、 しばし遊んだりもした。
昔は、 ヤマカガシは 毒を持っていない と思われていたのだ。
マムシより強力な毒 がある と判明したのは、
無事に 我が家に帰り付いてから、 およそ 数ヵ月後の 新聞記事であった。
蛇の研究者には、 もう少し早く 仕事をして欲しかった。
おとなしいからといって、 ヤマカガシを侮ってはいけないのだ。
住んでいた家にも行ってみたが、 跡形もない。
何しろ、 当時 すでにボロ家だったから 当然といえば 当然である。
ボロい借家に、 祖母と、 足の不自由な伯父と、 出戻りの叔母と、
両親を亡くした従姉と、 私の両親、
そして 黒猫のロク が居るところに、 吾輩は 生を受けたのであった。
アオカン になるはずでである。
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