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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――5



「やはり、 あれは本物だ」
「おっ、 これで三つになった」
 こそこそしている二人の周りをうろつきながら、 八尺が、
「邪魔な頓珍漢って、 もしかして俺?  ねえ、 俺?」
 とかやっていた。

 それを放っておいて、 蜻蛉が元気に歩き出す。
 たどり着いたのは博物館。
 昔貴族の屋敷だったところを改装した 立派な建物だった。
 展示のお知らせ看板には 『特別展示・世界の秘宝展』とある。
 蜻蛉は ずんずん進んで突入していった。
 広い展示室には 様々な歴史的遺品が並べられていたが、
 若い娘が、 特に 蜻蛉が好みそうな展示ではない。
 真面目に閲覧している人々の間ををぬって、 蜻蛉は 一挙に最奥の部屋に進んだ。

 そこは 今回の目玉展示、
 旧真砂王国、 虚空王国、 木土王国と麻本呂婆(まほろば)王国の秘宝が展示されていた。
 警備の人間もいて、 いかにもお宝という感じがする。
 中でも、 古代ネクリア王国の宝石をちりばめられた王冠は、 ド派手でケバイ。
 あまりの豪華さに度肝を抜かれた。

「すっごいなあ。 キンキラキンだ」
 見とれる蜻蛉の横に、 すっと桜が並んだ。
「確かに、 これが典型的な金銀財宝だな」
「あっ!」
 蜻蛉と桜は 顔を見合わせる。

「桜さん、 まずいんじゃないか」
「そうだ、 ものすごく まずい事態だ。 『導きたまえ』が二つになった。
 しかも 導かれるだけで、 手に入らない間抜けさだ」
 二人は無言で考え込んでしまった。

 博物館を出て ふらふらと歩き出した先には、
 必ず 豪邸とか両替商とか 宝石店とかが現れることになった。
 蜻蛉よ、 何処へ行く。

「とにかく 宿に落ち着いて、 よく考えよう」
 桜の提案で、 蜻蛉が向かった先にあったのは 超高級旅館。
 入ろうとする蜻蛉の襟首を 桜がガッシと捕まえて 引きずり離す。
 だが次に行ったのは、 超々高級旅館。

「仕方がない。 あんなところに泊まったら 支払い不能だ。
 やっくん、 蜻蛉を担いでくれ。 安宿を探そう」
「はい桜さん。 仰せのままに」
 じたばたする蜻蛉を 肩に担ぎ上げて歩き出したところを、
 いかにも芸術家という感じの長身の男が すれ違って入っていった。
 八尺が 小首をかしげる。
「あれっ、 どっかで見た気がする人だ。 誰だっけ」
「やだあ、 下ろせ。 自分で歩ける」
 ずり落ちそうになる蜻蛉を ひょいと担ぎなおして、 桜の後を追う八尺だった。

 行き交う人々に奇異な視線を向けられるため、
 なるべく 人目のない通りを選んで進んだのが、 かえってあだになったようだ。
 警邏隊詰め所の前を 知らず通ることになり、
 都を守る真面目な警邏官の目を引いた。

「バカやろう、 下ろせ。 助けてえ」
 気がつかない蜻蛉が、 折悪しく暴れる。
 たちまち 誘拐の現行犯として逮捕された。



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