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蜻蛉の願いはキンキラキン 第五章――4



 緑の珠を 嬉しそうに握り締める蜻蛉を見て、
 桜が 呆れたように首を振る。

 蜻蛉は 足取りも軽く歩き出した。
 ご機嫌だ。
 しばらく行くと、 小さな公園があった。
 街中にぽっかり空いた空間は、 そこだけ人気がなく、
 小鳥が数羽遊んでいるだけだった。

「あれ、 八尺のおっちゃんは?」
「消えたな。 鬱陶しいのが居なくなってせいせいする。
 しかし、 そんなものを買ってどうするんだ」
「いいじゃないか、 きれいだもん」
「おまえなら 赤にするかと思ったが、 緑とはな」

 蜻蛉は気にする風もなく 両手で掲げ持って、 うっとり眺めながら言った。
「これなら絵になるな。 金銀財宝のありかに 我を導きたまえ、 なんちってな。
 ……えっ?  おおおお!」
 それは、 蜻蛉の手の中で、 大きな蛍のように ゆっくりと瞬くと、 きらりと光った。

「よく出来てるなあ。 どういう仕掛けだ」
「むむむむ、 安物の玩具がそこまでやるか。 もしかして ……本物? 
 ……確かめてみようではないか。
 念のためだ、 縁切り札を貼っておけ」

 二人は来た道を戻った。
 途中、 桜は何かを思いついたようで、
 古びてはいるが丈夫そうな皮袋を 値切り倒して手に入れ、
 みやげ物屋に着くと、 赤、 青、 白、 黄色、 紫の五つをまとめ買いにし、
 さっきの公園に戻った。

「桜さん、 そんなに買ってどうする」
「星白は このどれかを持っているはずだ。
 隙を見てすり替える という手もある」
「うわっはっはっは、 お主も悪よのう」

 怪しい高笑いを響かせて 店を出た二人を、
 八尺が見つけて 擦り寄ってきた。
「よかった、 見つけた」
「まだ付いてくる気か」
 桜がうんざりして言うが、 八尺は平気だ。
「もちろんだ。 割の良い仕事を世話してやるという 変な奴に捕まっていた。
 生活には困っていないと言ったら、 良い娘を紹介するとか言って しつこく付きまとわれた。
 生き馬の目を抜く という奴だな。 危ない危ない」

 桜は、そんな八尺を桜は無視して、 買ったばかりの赤い珠に向かい、
「付きまとってくる邪魔な頓珍漢を 引き離したまえ」
 と言ってみるが、 珠はさっきとは違い 何の変化も起こさなかった。

「やはり、 あれは本物だ」



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