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蜻蛉の願いはキンキラキン 第四章――9



 夕食は、 おたふく豆とサツマイモをどっさり使った料理だった。
 代官は 相変わらず嬉しそうだ。
 福は 時折ちらっと困った顔を見せながらも、
 好物なのか ぺろりと平らげ、 いっそう困った顔になる。
 蜻蛉たち三人以外は、 そんな福の様子が気になっているようだった。

 案の定、
 食事が終わって そそくさと立ち去ろうとする福を、 代官が呼び止めた。
「福さん、 あの有名な福さんですよね。
 私の目に狂いは無いはずです。 是非お願いしたい」
「もう止めましたし、 差し上げられるものも 何一つありません」
「もちろんですとも。 あなたの価値は その身一つ。
 物ではなく、 今回は 体験とその記憶が欲しいのです。
 お願いします。 是非是非」
「お断りします」
 福は走り去った。

「福さんて、 有名人なのか」
 膨らんだ腹を叩きながら、 蜻蛉が 例によってお気楽に質問した。

「はい、 それはもう、 とってもとっても有名です。
 もっとも 皆さんは知らなくても驚きません。
 樹枝庵の『泉』をご存知でも、
 あゆあゆのうがい薬の価値が わからない方々のようですから。
 品のないことだと思うのでしょうね」

「悔しいけど、 とっても美人なのは確かだな」
「ふぉっほっほ、 本当に、 これほど美しいとは噂以上です。
 でも 彼女の価値は 下半身にあります」

 元将軍が お茶を噴いた。
 真手と好は 聞こえないフリをした。
 博士が 目を剥き、 助手が うろたえる。
「かかかかか……は……ん……し……んって、 まままままさか」

「うう、 悔しいけど、 確かに見事なケツだ」
 蜻蛉が しつこく悔しがっていた。

「こんな好機を あきらめるわけにはいきませんねえ」
 代官の目が ぎらりと光った。



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コメント
891: by そうへい on 2012/12/02 at 22:41:57

おじゃまします


今回の作品
私が真面目に読んでいない所為か
かめばかむ程 ・・・
違った
読めば読む程
いつも以上に不思議な世界観です。

現代なのか昔々なのか、
地球なのか別世界なのか
登場人物はしのぶもじずりさんの
愉快な仲間達 の印象で、
そのうち作者ご自身も登場しそうに
感じる程です。

え〜っと、苦情でなくなんとなくの感想ですから
読み流して下さいませ


おじゃましました

892:Re: そうへい様 by しのぶもじずり on 2012/12/03 at 00:17:39 (コメント編集)

いらっしゃいませ

あまり大真面目に読まないでください。
何しろ、主人公が世界征服を狙うおバカですから。

一応設定としては、現代と昔々の間、近代が始まるかどうかの頃と考えて書いています。
地球によく似た別世界くらいな感じです。登場人物が宇宙人という事はありません。

「作者とゆかいな仲間たち」とは上手いことをおっしゃる。そんな感じで。
ちょっとおふざけが過ぎているかもしれません。
ゆる~いお話です。生温かい目で見てやってくださいませ。

コメントをありがとうございます。

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