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蜻蛉の願いはキンキラキン 第四章――3



 やがて 温泉町が見えてきた。
 入り口に 大きな看板も出ている。

『ようこそ 秘湯極楽の湯へ  名物 地獄谷温泉も大人気!』
 どっちなんだ と言いたい歌い文句である。
 地獄と極楽では 違いすぎるだろう。

 それはともかく、
 一番安そうな宿を選んで 早速旅の(?)汚れを落とした。
 臭いの染み付いた衣服も 洗濯した。

 湯上りの気持ちよくなったところで 町をぶらついていると、
 ひなびた露天の矢場がある。
 小さな玩具の弓矢で 景品を当てると くれるらしい。
 遊び好きの蜻蛉は 簡単に引っかかった。

 料金を払って 弓矢を手にする。
 見るからに当たりそうもない いいかげんな作りの弓矢だが、
 蜻蛉はやる気満々だ。
「桜さん、 どれが欲しい?」
 楽しそうに 要望まで聞いている。

 そこに通りかかったのは、 温泉につき物の 酔っぱらい男二人組み。
 真剣に狙いを定めている蜻蛉の肩に なれなれしく寄りかかり、
「よお、 姉ちゃん。 一緒に飲もうよ。 お酌してえ」
 なんてことを言った。

 そのせいだけではないだろうに、
 矢は景品をかすりもせずに あらぬ方向に飛んだ。
 間の悪い奴だ。
 蜻蛉は怒って 追い払おうとしたが、
 酔っぱらいは しつこく絡んで歯牙にもかける様子がない。
「姉ちゃん、 顔が怖いよ。
 ヒック、 さすが地獄谷温泉だ。
 鼻も胸もぺったんこの女鬼がいるう。 鬼さんこちら」
 あろうことか 言ってはいけないことまで口にした。
 桜以外の他人から言われると、 本気で腹が立つ。

「てめえ、 殺してやる――っ」
 ぶちきれた蜻蛉は、 手にした玩具の弓矢を 酔っぱらいめがけて打ち放つ。
 が、 めったに的には当たらないように出来ている矢は、
 方向音痴を遺憾なく発揮して飛び、
 ちょうど後から歩いてきた男に当たった。

 人相が悪く、 体つきもごつい男は、 その筋のおじさんにしか見えない。
 えらそうにふんぞり返って歩いていた上に、
 鼻が天井を向いている不幸な顔立ちだった為、
 矢は 鼻の穴にすっぽりとはまった。

 それを見た酔っぱらいが 腹を抱えて笑い転げ、
 通行人も 次々と爆笑の渦に巻き込まれていく。

 みるみるうちに 怒りに顔を赤く染めた男は、
 鼻に刺さった矢を抜いて 地面に叩きつけると、 蜻蛉に殴りかかった。
「てめえ、 ふざけたまねを……」

 当然の反応といえよう。



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by まっとめBLOG速報 on 2012/11/25 at 21:50:59

 やがて 温泉町が見えてきた。 入り口に 大きな看板も出ている。『ようこそ 秘湯極楽の湯へ  名物 地獄

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コメント
871: by 彦星 on 2012/11/26 at 15:12:17

(*・д・)ノ*:゚★こんにちヮ☆・゚:*:゚

蜻蛉さんは、大変な事になっちゃた・・・・
さてさてこの先の展開は・・・

応援♪~ポチッ☆彡

872:Re: 彦星様 by しのぶもじずり on 2012/11/26 at 17:27:59 (コメント編集)

こんにちは

おバカなコンビですから、簡単に面倒を起こします。
生温かい目で見てやってください。

1318: by LandM on 2013/05/08 at 07:30:21

なんというか治安が悪いと言うか、かんというか。結構騒々しいことが多いですね。まあ、酒を飲んでいるというのもあるのかもしれませんが。ああ、あれですね、「やじきた」に似ているんですね。この二人は。

1319:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2013/05/08 at 10:12:24 (コメント編集)

そうですそうです 珍道中です。
色々と面倒を巻き起こしながら進んで行きます。

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