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蜻蛉の願いはキンキラキン 第三章――7



「放っとけ、 関わるな」

 桜は、 赤麿関係の相談や泣き言を いやというほど聞いていた。
 本人が 紛れもない悪ガキであることは確かだが、
 赤麿の周囲にだけ、 何故が謎の不運が付きまとう。

 国中が あっぱれな晴天の日に、 地主の屋敷だけが、 局所豪雨に見舞われる。
 どういう訳か 食事に笑い茸が混入し、 一日中 笑い続ける羽目になる。
 新品の道具が 爆発し、
 買ったばかりの衣装が 糞まみれになり、
 小石にけつまずいて、 たんこぶが出来、
 宇宙人が襲来する。

 という具合に、 数え上げればきりがない。
 不思議な事に、 赤麿本人だけは いつも何事もなく無事だ。
 元凶が赤麿にあることは、 一歩離れさえすれば 災難に遭わない事で証明された。

 人間の本性が まじないごときで変えられるはずはないにしても、
 周囲にだけ発生する正体不明の不運は、 桜のまじないで 軽減出来るはずだが、
 件の大地主は、 常日頃から 占いやまじないは大っ嫌いだ と公言しており、
 怪しいまじない師を頼るつもりは さらさらない様子だ。
 意地になったかのように、 一度も相談には来ない。

 となると、 桜にできるのは、
 被害者たちの溜まりに溜まった鬱憤(うっぷん)を抜いてやるくらいが関の山だった。

 蜻蛉と桜は、 互いに目で合図を送り合い、
 蜻蛉は 隅に転がっていたすりこぎを、 桜は杖を、 しっかりと握り締める。
 大きく深呼吸をして、 扉に手をかけた。
 が、 今度も遅かったようだ。
 外から あわただしい足音がした。

「くっそー」
 親分が 怒りもあらわに 勢いよく扉を蹴り飛ばして入り、
 部屋の惨状を見て さらに真っ赤になった。
 二号も ひきつけを起こしそうになっている。

「いったい何があったんで」
 驚いて泣き止んだ三号の問いかけに、 一枚の紙を放り投げた。
 恐る恐る拾い上げて、 三号が読み上げる。

「赤麿を引き取って欲しかったら、 金貨千枚用意して持って来い。
 びた一文まからん」
 三号は 泡を吹いて倒れた。
「……せ、 千両」

 桜が、 意を決して蜻蛉に命じた。
「宝珠のお札をはがせ。
 そうすれば星白が、 来る~~、 きっと来る~~」
「わかった」

 三人の男たちの重い空気をよそに、 赤麿は暴れ続けている。
「なぜだ、 何故こうなる。 計画は 完璧なはずだった。
 おい、 それは止めろ!  壊すな」
「このガキを何とかしねえと、 人生真っ暗闇ですぜ。
 うぐっ、 そんなとこから俺の上に飛び降りるな!  痛えだろ」
 二号は げっそりしている。

「何とかして千両作って、 引き取ってもらいましょう。
 三人で一所懸命に働けば、 死ぬまでには何とか返せるんじゃ……
 ああ、 それだけはやめて」
 三号が、 親分に泣き落としをかけつつ、 赤麿の暴挙を押しとどめようと必死だ。

「ばかやろう。 忘れたのか。
 俺らはとびっきりの貧乏なんだぞ。 しかも 何一つ才能のない。
 こうなったら ぶっ殺して 死体を地主の家に放り込んでやる。
 おい、 赤麿」

「はーい おやぶん、 なあに?」



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コメント
1246: by LandM on 2013/04/08 at 06:27:02

そもそも隠れ家は何個か用意しているものですけどね。活動拠点にもよりますけど、近郊で用意する場合にも一キロ圏内に配置している場合が多いですね。最近は名義貸しも簡単にできるから、結構複雑になってますよね。

1248:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2013/04/08 at 11:19:55 (コメント編集)

思いつきだけで始めた 誘拐の素人です。許してやってください。
外国で活躍しているらしい誘拐のプロは、用意周到に準備するのでしょうね。
軍隊が出動したりしますものね。捕まえるのも大変そうです。

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