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蜻蛉の願いはキンキラキン 第三章――3



「坊ちゃん、
 おとなしくしてたら、 身代金を手に入れた後で 返してやるからな。
 逃げても無駄だぜ」
 誰を誘拐したのだろうと、 桜と蜻蛉は、 板壁の隙間からそっと覗いてみた。

 頑丈そうないかつい男と 頼り無さそうなひょろりとしたチンピラ、
 そして五、六歳くらいの男の子が かろうじて見えるが、
 顔までは なかなかはっきりとはわからない。

「兄貴、 親分は どのくらい要求するつもりなんですかね」
「大地主の孫だからな、 金貨四百五十枚だ」
「うわあ、 四百五十両!  すごい」
 チンピラは、 兄貴とやらに 尊敬のまなざしを送った。

 物置の桜が 小さな声でつぶやいた。
「けち臭い悪党だな。 もっといけるだろう。 しかも妙に半端な額だ」
 隣で 蜻蛉が目を見開く。
「大地主の孫って言ったよな。 もしかして、 それ……」
 桜も絶句した。

「おい、 わるもの、 腹へったぞ」
 えらそうな子どもの声がした。
「それもそうだな。 親分もおっつけ戻ってくるだろう。
 おい、 飯を作れ。 といっても相変わらず雑炊か。 もう少しの辛抱だな」

「おいしく作れよ、 わるもの三号」
「なんだ、 三号ってのは」
「もんくあるのか、 わるもの二号」
「なんだと!  俺様の名前はな……」
「兄貴!  駄目です。 誘拐犯が 簡単に名前を名乗っちゃあ」
「おっと危ねえ。 仕方ない、 いいよ二号で。 おまえは なんて名だ」
「赤麿さまだ」
 桜と蜻蛉は、 ああやっぱり、 と目を瞑った。
 よく知っている、 というか よく聞く名前だった。

 やがて 手馴れた様子で料理を作る音が聞こえ、
 物置の中にも 美味しそうな匂いが流れてきた。
 三号は 料理上手らしい。
 出来上がる頃には 雨の音がやんでいた。 通り雨だったのだろう。

「小僧にだけ 先に食わせてやれ」
「赤麿様だ」
「はい、 どうぞ。 赤麿様」
「バカやろう。 本気でガキ相手に様をつけてどうする。
 チビ、 さっさと食え」
「あつい、 あつくて食べられない」

「けっ、 贅沢ばっかぬかしてんじゃねえぞ。
 えっ?  うわあああ!  あちっ、 あちちちち」
 どういう加減なのか、 雑炊の器が傾き、 二号は 頭から雑炊をかぶる羽目になった。

「なっ、 おれさまがいうとおり、 すっごくあついだろ」



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