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蜻蛉の願いはキンキラキン 第三章――2



「こんなところで濡れたくない。 雨宿りしよう」
 見回していた蜻蛉が 桜の腕をつかんで、 上を指差した。
「あそこに小屋がある」

 山道からは 木々の枝に隠れて見えなかったが、
 河原から見上げると 途中に小屋が見える。
 木の下なんかよりも 確実に雨が防げそうだ。

 二人は近づいて扉を叩いた。
「ごめんくださーい。 雨宿りさせてくださーい。 誰かいませんか」
「いないみたいだ」
 扉に手をかけると 簡単に開いた。
「何の小屋だか知らんが、 誰もおらん。 入ろう」

 だが 入ってみると、
 生活用品が一通りあり、 こざっぱりして 外から見るより広さもある。
 誰か住み着いている様子だった。
 一体 こんなところに住むなんて どういう人間なのだろうと、 二人は物珍しげに室内を探った。
 奥には 最低限の煮炊きも出来そうな 台所まで在る。

 そこの戸棚を覗いた蜻蛉が、
「あっ、 饅頭だ。 美味そう」
 と言うと、 横から 桜がつまんで一口かじった。
「おお、 いけるぞ」
「わわわわっ、 桜さんそりゃまずいだろ。 ひとんちの物を勝手に食っちゃ」
「おまえが 美味そうだなんて言うからいかん」
「あたしのせいか。 …… 違うだろう!」

 間の悪いことに、 その時 外から足音と怒鳴り声が聞こえた。
 二人は 反射的に 手近な扉の中に飛び込んだ。
 物置らしく、 雑多なものが入った 埃だらけの小部屋だ。
 途端に 激しい雨の音も聞こえ始めた。

 怒鳴り声が近づく。
「さっさと来い。 てめえ、 ぶっ飛ばされたいか。 降ってきたじゃねえか」
「だって兄貴、 こいつ暴れて大変なんだ」
 男二人の声は、 乱暴に小屋に入ってきた。

 どさり と荷物を降ろしたような音がする。
「ようし、 うまくいったな。
 今頃は 親分が身代金を要求する脅迫状を届けてるだろう。
 がっぽり貰ったら こんな小屋とはおさらばだ。
 賑やかな街に出て 贅沢に暮らそうぜ。
 小僧を袋から出してやれ。 一人じゃ帰れねえだろうから心配ねえ」

 物置の二人は 顔を見合わせた。 とんだところに来てしまったらしい。



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コメント
1141: by LandM on 2013/02/24 at 11:01:38

おお、分かりやすい誘拐集団だ。
今のご時世ならともかく、
この世界で誘拐して採算が合うのかなあ・・・。
そもそも誘拐された人の家族がそこまで金をもっているかが問題だ。

1143:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2013/02/24 at 18:38:37 (コメント編集)

誘拐された家族は大金持ちです。
この場合、問題はそこじゃありません。

いつもコメントをありがとうございます。

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