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蜻蛉の願いはキンキラキン 第三章 赤い疫病神――1



「完全とは言えないかもしれないが、 これで 少しは奴らを撒けるだろう。
 蜻蛉、 このお札で宝珠を包め」
 桜が まじないをかけたお札を差し出した。
 蜻蛉は 宝珠を出して いわれたとおりにする。

「これ、 なんのお札だ」
「星白との縁切り札だ」
「ええーっ、 まだ 何にも手を出していないのに。
 せめて 手をつなぐまでは……」
「うるさい!  いずれ嫌でも会うことになるわい。 お預け!」
 犬じゃないんだから、 とぶつぶつ文句を言う蜻蛉を、
 桜はきれいに無視した。

「奪い取る算段がつくまでは 仕方がない。
 今の状態では 色仕掛けにするどころか おまえが篭絡(ろうらく)されかねん。
 いろんな意味で 向こうが上手だ。
 くす玉を追いかけた時の身のこなしも、 只者ではない」

「星白なんだろうか、 爺さんでなくて」
 ちょっと悪あがきの蜻蛉。

「はじめに現れたのが、 すっとぼけた孫のほうだったからな。
 まず間違いない。
 とりあえず 他の宝珠を捜そう。
 あいつらも 旅を始めたばかりだと言っておったから、
 まだ一つしか持っておらんはずだ」

「ようし、 学校に行こう!」
「待て、 それはあいつらだろう。 こっちから行ってどうする」
「あっ、 確かに。
 茶阿先生が 自作の曲を演奏したがっていたから、 今頃は拉致(らち)されていそうだ」

「他に行きたいところはないのか」
「……、 旅に出よう。 あっちだ」
 ぴしっと指差した方角を確かめて、 桜がにやりと笑う。
「南西だな。 木土(もくど)地方だ。 行くぞ」
 ようやく旅が始まる。

 茶阿先生が足止めしている間に 先を急ごうと、 二人は出発した。



 田舎道を過ぎて 山道に入る。
 桜は 杖を突いているので ますます魔法使いだ。
 蜻蛉は 背嚢(はいのう)の他に 例の四弦琴まで背負っていた。
 何の材質で出来ているのか、本体は意外に軽い。

 しばらく登った頃、 蜻蛉が 水を飲もうと立ち止まった。
「あれっ、 水があんまり残ってない。 飲みすぎたかなあ」
「がぶがぶと飲んでいたからな。 どこかで補給できればいいが。
 しっ!  ……………都合よく水の音がしないか。
 川があるのかも。 探そう」

 音のする方を探りながら進んでいくと、
 水音が だんだんはっきりし始め、 生い茂る木々の間から ちらりと川が見えた。
 降りていけそうな場所を見つけて 河原まで行き、
 水筒をいっぱいにして、 なんとなく 一休みする感じになった。

 透き通った谷川の流れは 気持ちが良かったが、
 そんなところに生息していそうな 小鳥や虫の姿が見えない。
 気がつけば、 陽の光も翳ってきていた。

「いかん。 こりゃあ 一雨くるな」
 桜は うっとうしそうに 空を見上げた。
 いつの間にか 黒い雨雲が迫ってきている。



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コメント
833: by lime on 2012/11/14 at 12:21:14 (コメント編集)

おお、やっと旅にでましたね。
長い旅路になるんでしょうか。

835:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2012/11/14 at 13:08:24 (コメント編集)

やっとです。
ドタバタ珍道中になります。  たぶん。
登場人物が、ああいう人たちですから。

1106: by LandM on 2013/02/11 at 17:43:18

前略、lime様と同じになりますが。
ようやく旅に出るんですね。
結構ここまで長かったですね。
もう帰ってくるなと言われそうだ。

1107:Re:LandM様 by しのぶもじずり on 2013/02/11 at 17:51:52 (コメント編集)

ここまでが長かったですか?

女の子は、お出かけ前の支度が長いんですよ。なあんてね。
ここからは、サクサクいくと思います。
サクサクいき過ぎているかも。

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