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赤瑪瑙奇譚 第一章――5


 コクウ王国からの使者は、 少人数で 意外にひっそりとやって来た。
 威風堂々とした 壮年の使者は、 謁見の間で ホヒコデ王と対峙した。
 面倒な挨拶が一通り終わると、 いよいよ 本題を切り出す。

「マサゴ、 モクド、 我がコクウの三国は、
 昨年和議を結び、 長い戦いの歴史に 幕を閉じました。
 三国共に 二度と戦わないと 固く誓いを立て、 これからは 貴国のように
 安定した豊かな国づくりを 目指す所存です。
 しかしながら、 長く続いてきた戦いに疲弊して、
 正直なところ 未だ新しい国づくりが 進んでおりません。
 就中(なかんずく)、 戦によって甘い汁を啜ってきた輩が 夢を捨てきれず、
 貴国と 戦を構えよう などと画策する始末」

「使者殿、 脅しに 来られたか」
 ホヒコデ王の鋭い声に、 使者は にやりと笑みを浮かべ、 続けた。

「いや、 単なる愚痴でござる。
 今回は、 貴国の ご助力を仰ぎに参りました。
 我ら三国、 戦さえなければ、
 マサゴからは豊富な海の幸、コクウは 広い平原から穀物の実り、
 モクドの山からは ほぼ手付かずで眠る資源を 手に入れることが可能。
 ご助力いただければ、 その成果を 廉価で提供すると約束する。
 隣国ゆえに 運搬にも便が良い。
 貴国にとって、 現在のように 遠国より買われるよりも益になる。
 それに、 我らが平和に暮らせば、 国境の人々も 安んじていられましょう。
 両国にとって 悪い話ではないはず」

「上手くいけば、 じゃな」
「必ずや、 この身に代えましても 上手くいかせます」

 ホヒコデ王が、 部屋から 召使たちを下がらせた。
 残ったのは、 王と使者と 信頼が厚く 腕も立つ側近のみ。

「使者殿、 お主 何者じゃ」
「ばれましたか。 コクウ王カリバネ、 お初にお目にかかる」
 隣国の王は、晴れやかに笑った。

 ここに来て、 戦に飽き飽きした三国の王が、 奇しくも 意見を同じくしたという。
 百年、 二百年先の国をかんがみて、 ゆくゆくは 王家を一つに纏める案まで出たという。
 マホロバに助力を乞う という案は、
 港を通して広く他国からの情報を知る マサゴ王の発案であり、
 資源を宝の持ち腐れにしてきた モクドの民が、 それを熱く支持している。

「人心を纏め、 事を上手く運ぶ為に 相談がござる。
 大きな花火を 打ち上げたい。
 我が息子、 コクウ皇太子に マホロバの王女を娶(めあ)わせたい。
 換わりに 三国から一人ずつ 王子を人質にお送りする」

 三国合わせても、 マホロバの 半分に満たない。
 大国マホロバ王国からすれば、 協力をしなくても やってはいける。
 しかし 国境を接する三国が 平和に収まるならば、 長年の緊張から 開放される。
 うまくいけば、 確かに 悪い話ではない。

 そしてこの王は、 自らの覚悟と 面構えを見せに やってきたのだ。

「マホロバの姫には、
 四国に跨る 平和と繁栄の さきがけとして、 大きな花火に なっていただきたい」


                            第二章につづく

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コメント
3164: by 椿 on 2015/09/13 at 18:09:12

宣伝につられ? 楽しませていただいております。マホロバ王国のお話なのですね。
ユキア姫の活躍とこれからの展開を楽しみにしております(^o^)

3165:Re: 椿様 by しのぶもじずり on 2015/09/13 at 19:42:02 (コメント編集)

おお! 宣伝したかいがありました。
またCMを入れちゃおうっと。
事件も起きます。楽しんでいただけたらうれしいです。
コメントをありがとうございます。

アルファポリスのweb大賞に参加してみましたが、
始まった週こそ、日に2〜30の方が読みにきてくださったみたいですが、
もう全然です。
まあ、そんなもんでしょうか。

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