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犬派のねこまんま 21である     byねこじゃらし

<水神様は凄いのだ>


 吾輩が小学校二年生になるやならずで、 吾輩の一家は 引っ越した
 愛犬の名前と同じ名前のド田舎の村から、 豪雪地帯のけっこうな田舎へと移ったのであった。
 住所は、 やっぱりだった。

 大変な豪雪地帯なので、
 村にある建物は、 どんなにボロ家でも 必ず二階建てである。
 何年かに一度は 大雪にすっぽりうずまってしまうので、
 二階の窓から出入りできるようにする為である。

 しかし、 都会でこの話をしても 冗談だと思われることが、 しばしばある。
 冗談ではない。 大真面目な話である。

 住んでいた社宅の一階玄関には、 雪が降る前に、 丸太で頑丈な雪よけを設置した。
 わが一家が住んでいた年には、 幸いにも 大雪に見舞われることが無かったが、
 それでも扉が凍りついて、 家から出られなくなったことがあった。

 父の働く現場は、 さらに 山奥に離れていた為、 毎日は帰ってこない。
 そんな朝に扉が凍りつくと、 対処するのは 長女である吾輩のミッションになる。

 トンカチ を持ち、 二階の窓から 雪の庭にひらりと飛び降り、
 扉に張り付いた氷を、外からカンカンと叩き割るのである。
 ちょっとしたアクションシーンである。

 当時三歳だった妹も、よく覚えており、
「あの時のおねいちゃんは、カッコよかった」
 と後に語ったほどである。

 わっはっはっは、 ちょっと見は派手だが、
 降り積もったばかりの雪だまりは ふわふわで、
 そこに ボスン と落ちるのは 気持ち良かったのである。
 八歳なら 体重も軽い。
 どんなふうに墜ちても、 怪我なんかしないのである。
 落ちた勢いで 雪の中に埋まってしまうと、 はい上がるのが 少々大変なだけだ。

 雪が降っても、 ほんのちょっぴりな都会では そうはいかない。
 しかも、 地面ではなく コンクリートなら、 大怪我は必至である。
 良い子は真似をしないように。


 雪国には 雪国の行事がある。
 水神様 を祭るのも、 雪国の風物詩という奴である。

 有名なのは、 秋田の「かまくら」 だが、吾輩がいた地域では、 あそこまで大規模ではない。
 雪を集めて台を作り、 子どもたちが並んで、 一人ずつ飛び下りるだけである。
 雪の台を作るのに少々時間がかかるが、 飛び下りるのはあっという間に終わる。
 地味な行事である。
 後は 雪遊びなどして、 おしまいである。
 雪はなんぼでもあったのだから、 秋田のように、 家のようなものを作ってみたかった。

 さて、 ダムを作ったり、トンネルを掘ったり、高速道路を作ったりする現場は、
 人里離れた山奥になることがある。
 毎日、自宅から通勤出来ない場所だ。
 そういう時は、 まず 現場近くに飯場(はんば)を建てる。
 飯場は 文字通り食堂でもあり、 作業員の宿泊所にもなる。

 人里離れた山奥には、 ガスも水道も敷かれていない。
 ガスはともかく、 飲料水は絶対に必要である。
 近くに、 飲み水にできる天然水がないかをチェックすることになる。

 谷川の水を水質試験場に持って行って検査すると、
 驚くほどきれいな水だそうである。
 雑菌がほとんど居ないらしい。
 酸素消毒になっているのだろうか。

「急流を三尺流れると、水神様がきれいにしてくださる」 
 理屈はどうあれ、昔の人は、こう言った。



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コメント
824: by そうへい on 2012/11/12 at 21:38:30

おじゃまします

真面目に子供の頃
ワイルドライフを楽しんでいらしたのですね

怖い様な羨ましい様な
(望んでなったりならなかったりする物では
 ないですからね)

 やはり引越先で新しい犬か猫を飼うと
またその村の名前になるのでしょうか?(笑)

おじゃましました

826:Re: そうへい様 by しのぶもじずり on 2012/11/12 at 23:55:47 (コメント編集)

いらっしゃいませ。

いつでも本人は大真面目にやってるんですけどね。
いろんな環境を体験できたのはラッキーでした。
父親の単身赴任より、一家で移動するのは大変ではあるけど、面白かったです。

父も、村の名前をペットに付けるのは、一度で飽きたようです。
黒ネコと同じ名前の白犬の後は、ペットの命名に執着しないようになりました。

コメントをありがとうございます。

832: by lime on 2012/11/14 at 12:18:28 (コメント編集)

トンカチを持って、さっそうと雪の中につっこむねこじゃらしさんの有志が浮かんできます。
雪国の暮らしって、それを体験した人でないと分からない苦労がいっぱいなんでしょうね。
関西より西にしか住んだことのない私には、想像するしかないです^^;
でも、寒がりな私には、無理だなあ・・・。
寒いと動きが止まってしまう変温動物ですから。

でも、そんな雪国く暮らしは、貴重な体験。
きっといつか、何かに役立つはずです。
いつかまた氷河期になっちゃったりとか、した日にゃ・・・。
ならないか?

834:Re: lime様 by しのぶもじずり on 2012/11/14 at 13:04:29 (コメント編集)

寒いのも熱いのも 人間は慣れちゃいますからね。
その土地に行けば、次の年には慣れているような気がします。

でも、雪に閉じ込められて身動きできない時期は、いやかも。
南にあこがれる人は多いみたいです。

温暖化しているようですから、いきなり氷河期にはならないように思います。
limeさん、大丈夫ですよ。

939: by on 2012/12/12 at 22:42:58 (コメント編集)

雪国は本当に大変ですね。
良くみんな、暮らしていると、感心します。
二階が入り口、分かりますね。

実は、北海道に住んだことがあって、初めての冬。
冷蔵庫も無い、友達と二人だけの家。ww

ある夜、窓の外でパシーンと音が、まさか窓が割れた?!
死活問題だ、と、見ると何とも無い?
恐る恐る窓を開けると、出していたのを忘れていたコーラが真っ二つ。
北海道の恐ろしさを、知った、初めてのことだった・・。
訪問ありがとうございました。☆彡☆彡

940:Re: 雫様 by しのぶもじずり on 2012/12/13 at 00:41:48 (コメント編集)

いらっしゃいませ

> 雪国は本当に大変ですね。
子どもは順応性がありますから、それはそれで楽しいですけど、大人は大変です。

> 恐る恐る窓を開けると、出していたのを忘れていたコーラが真っ二つ。
水気のあるものは、とにかく凍りますよね。
濡れたタオルを戸外で振り回すと、棒みたいになります。(笑)

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