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蜻蛉の願いはキンキラキン 第二章――6



「そ、 それはいくらなんでも、 お梅婆さんにしましょう」
 蜻蛉に 突き刺さるような視線を送る桜におびえて、
 慌てて言い換えた世話役だったが、 たいして変わっていない。

 桜と蜻蛉は、 テレテレとやる気無さそうに小部屋に入り、
 なれない奉仕活動に手を付け始めた。
 くす玉の中に入れる垂れ幕作り、 紙ふぶきの製作、
 そして、 くす玉本体の修理である。
 やたらめったら大きな白いくす玉は、
 年使い回しをしていたので 大分痛んでいる上に汚れていた。
 田舎町の 偉大なるマンネリの結果である。

 桜は ちょっと変化があってもいいかもしれないと、 垂れ幕に書く文字を考えていた。
「祝・開墾記念」では 芸がない。
 何か 目を引き付ける衝撃的な文句はないものか と危険な発想に走っていた。

 蜻蛉は、 くす玉の修理に取り組んだ。
 意外に やわな作りに納得がいかず、 丈夫なものに作り変えていった。
 あと百年は 使えるかもしれない。
 問題は 蜻蛉の不器用にあった。
 丈夫になるにつれて、 形のほうは 微妙にゆがんでいき、
 でこぼこが出来てしまっていた。
 しかし、 小部屋に隠れて ひっそりと行われているため、
 事態を知る者は無かった。

 二人が せっせと作業にいそしんで、 それなりに楽しみ始めたころ、
 ピーヒョロロと笛の音が聞こえてきた。
 作業の手が ぴたりと止まる。

「なにか いや~な予感が……」
「うん、 するする」

 蜻蛉が そっと扉の隙間から集会室を覗き、 あわてて扉を閉めた。
「来た!  悪徳訪問販売業者の二人だ」
「おのれ!  管理人と世話役が漏らしたか」
「いや、 随分と桜さんに怯えていたから、 そんなことはないと思う」
 二人は そっと扉に近づき、 再び 隙間から集会室の様子を窺い始めた。

「お忙しそうに 何をしているんですか」
 星白が問いかけていた。

 丁度通りかかった世話役が それに答えると、
「じゃあ、 僕にもお役に立てることがあったら 手伝わせてください」
「見れば 旅の方のようですが、 どうしてまた」
「なんとなくです。 近くを通りかかったら、 突然そうしたくなりました」
 世話役は 戸惑っていたが、 星白の持っている笛を見て、 思いついたように言った。

「皆さん 無料奉仕していただいているので 日当とか出ませんが、 それでも良かったら、
 のど自慢大会の伴奏を お願いできますか。
 学校の茶阿(ちゃあ)先生が 四弦琴を弾いてくれますが、
 笛が加われば 豪華になるかも」



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