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蜻蛉の願いはキンキラキン 第一章――8



「ドアホ!  バカかおまえは!  なあにが導きたまえだ!」
 桜に張り倒された。

「なんだよ、 くそばばあ!  言ったとおりにしただろ」
「全然違う。 『他の七つが手に入りますように』 と願ううんだ。
 お願いは 具体的に分かりやすく が鉄則だ。
 宝珠の在りかに導かれても、
 自分で手に入れなくてはならんようじゃ、 手間がかかるだろう。
 おまえのことだから、 楽して手に入りますように くらいは言うと思ったのに、
 気取っている場合か」

「あっ!  ……」
 桜の言うとおりだ とは思ったが、 かっこよさも追求したい蜻蛉だった。
 世界征服を成功した暁には、 伝記なんかも書かれるはずだ。
 そこに、 『残り七つの宝珠を、 楽して手に入れられますようにと願った』 と記されるのは、
 ちょっとばかり 見栄えが良くない。
 すでに 世界を視野に入れ始めていた蜻蛉の妄想は、 際限なく広がりつつあった。



 翌日、 朝食と苦手な掃除を済ませて 一息つくと、
 蜻蛉は 見栄えの良くない黒の宝珠を眺めて ため息をつく。
 最初の一つがこれって、 なんか 華やかさにかける、 と思った。
 金の珠(たま)は、 若い娘としては 気後れするものがあるが、
 せめて 赤とか白とかであって欲しかった。
 桃色も いいかもしれない。
 が、 黒では、 世界征服を狙う悪役みたいではないかと思う。
 そのつもりだったことなど、 すっかり忘れているようだった。

 とにもかくにも 気を取り直して、 危ない手つきながら 袋を縫い始めた。
 肌身離さず持ち歩く為に、 八つの宝珠が入る大きさにして、 紐を付けた。
 縫い上げた袋に 黒宝珠を収め、
 服の下に しっかりと結わえ付けると、 することがなくなった。

 ためしに、 たった一文で手に入れた 変な四弦琴に弦を張りなおし、 暇つぶしに弾いてみた。
 意外に良い音色が響く。
 音だけなら、 買い損なった物に負けていない。
 形がおかしいだけだった。 棹首の変な出っ張りさえなければいいのに。
 しかし、 世界の覇者が持つには、
 これくらい変わった物の方が それらしいかもしれない と思いなおした。

 怪しい笑みを浮かべて 悦に入っていると、 部屋に桜が入ってきた。
「蜻蛉、 いい音がしていたが、 あれは昨日買ったやつか? 
 掘り出し物だったな。 買わなかったほうよりも良いじゃないか」

 桜は、 四弦琴から蜻蛉に目を移し、 探るように じっと見つめる。
「旅に出る気にはならんか」



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コメント
758: by ポール・ブリッツ on 2012/10/31 at 18:56:03 (コメント編集)

波乱万丈の大長編になりそうですね(^^)

759:Re: ポール・ブリッツ様 by しのぶもじずり on 2012/10/31 at 20:15:35 (コメント編集)

ん~ん、どうでしょうか。
いかんいかん。弱気になってはいかんぞ。

いつもの奴、いきまーす。 乞うご期待!

766: by 彦星 on 2012/11/02 at 12:41:34

(^-^*)/こんにちわ♪~
読み逃げですが・・・(笑
いつも楽しく拝見して拝読させて貰っています。v(*’-^*)bv♪
応援もさせて貰っています。
益々のご活躍を楽しみにしていますね。
応援♪~ポチッ☆彡

ご訪問いただきまして♪:,。★\(^-^ )♪ありがとう♪( ^-^)/★,。・:・゚ございました。

767:Re: 彦星様 by しのぶもじずり on 2012/11/02 at 14:24:21 (コメント編集)

いらっしゃいませ。

こちらこそ、いつも楽しく拝見しています。
以前のFC2ブログのほうも素敵です。
読み逃げも全然OKです。読んで頂けるだけで嬉しいです。

ありがとうございます。わたしも応援させて頂いてます。

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