FC2ブログ
RSS

蜻蛉の願いはキンキラキン  第一章――3



「最初のお願いが 大事っと、 うん、 うん」
「あわてて、 勝手なお願いをしてはいかん。
 残り七つの卵形宝珠を 手に入れられますように、 とお願いするのだ」
「あったまいい!」

「だろ。 そうでもしなけりゃ、 残りは簡単には見つからん。
 もっとも、 その願いが必ず叶うとは保障できない。
 だから、 全部集められる奴が出てこないのだ。
 手近な望みが一つ叶えられるのに、 それを無駄にして試す気にならんのだろう」
 人間という奴は、 幸運を一つ手に入れると、 案外ケチくさくなるものなのかもしれない。

「あたしはやるよ。 目標は踊る妖精だ」
「気をつけろ。 宝珠を手に持ったら、 口にする願望は、 すべてお願いになる。
 昔、 宝珠を手に入れたとたん、 ぼうっとして、 腹が空いているのに気が付き、
『腹減った。 どんなに粗末な握り飯でもいいから、 今すぐ食べたいもんだ』 と言ったばかりに、
 この世で一番粗末な握り飯を 手に入れてしまった奴がいるらしい。
〝注意一秒怪我一生〟  なのだ」

「それって、 もしかして桜さんか」
「違うわい!」
「食い意地がはってるから、 そうかと思った」
 桜は、 ぎろりと睨みつける。
 恐ろしい目つきだが、 蜻蛉は慣れているので、 びびることはない。

「失礼な孫だ。 わたしが望んだのは、 霊力だ」
「うーん、 確かに一つじゃ、 たいしたことはなさそう」
「再び 失礼な言い草だ。
 わたしが まじない師として稼いだおかげで、 そこまで育ったくせに」
「胸の辺りを、 もう少し育てて欲しかった。
 あっ!  桜さん、 肝心なことを忘れてる」
 今までの興奮が冷めたように、 蜻蛉が 渋面になった。

「胸が育つのは まだこれからだ。
 なんだ、 そんなに へこんだ胸が気になるのか」
 蜻蛉が、 ぶちきれる。
「へこんでないわい。 平らなだけだ! 
 ……そんな事じゃなくて、 はじめの一つを どうやって手に入れればいいんだ。
 そこが肝心だろ」

 珍しい蜻蛉の正論にも、 桜は、 余裕の笑みを浮かべる。
「近頃感じるのだ。 ときめく心の震えを」
 蜻蛉は 押し黙った。

 年頃の自分に訪れてくれない『ときめき』を、 目の前の年寄りが感じているということに、
 敗北感が じわりと襲ってくる。
 突っ込みきれない 自分が悲しい。

「どうだ。 孫想いの桜さんのありがたさが 身にしみるだろう」
「えっ?  何が?  どういうこと?」



戻る★★★次へ

トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
800: by LandM on 2012/11/08 at 16:21:50

願い事を100個にしてほしいという原理と同じでしょうかね。
・・・それは随分と俗物的というかなんというか。
しかし、願い事はあくまで願い事でしょうから、願い事を100個にしてほしいと本心の心の奥底から願えるかははなはだ疑問がありますけどね。。。

801:Re: LandM様 by しのぶもじずり on 2012/11/08 at 17:33:20 (コメント編集)

「願い事を100個」は 1個の宝珠で「世界征服」と同じに、禁則事項ですから。
1個の宝珠では、あくまでそこそこのお願いしか聞いてくれません。

他の7個は……ギリ? という設定になっています。都合が良すぎますかしら。

▼このエントリーにコメントを残す

   

プロフィール

しのぶもじずり

Author:しのぶもじずり
とりあえず女です。
コメントを頂けると、うれしいです。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

検索フォーム

いらっしゃ~い

らんきんぐ

よかったら押してね
 にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村 小説ブログ エッセイ・随筆へ にほんブログ村 小説ブログへ
 

リンク

このブログをリンクに追加する   リンクフリーです

おきてがみ

FC2以外のブログからお越しの方、クリックで足跡が残せます。
「ことづて」は機能していませんので、ここにはコメントは残せません。

RSSリンクの表示

QRコード

QR

月別アーカイブ

フリーエリア