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犬派のねこまんま 17である        byねこじゃらし

<僕は犬である。 名前は言えない>


 犬派と銘打っておきながら、 の話を書いていない事に気付いた。
 ここらで、 登場させよう。

 小学校一年生の時、 山の中の 小さな村に住んでいた事は書いた。
 そこで 犬を飼う事になった。

 村に一軒しかない何でも屋さんに わざわざ注文して取り寄せた 牛肉 を、
 何者かに盗まれたのが発端だった。
 父は 激怒し、 落ち込んだ。
 よほど食べたかったらしい。

 何しろ 周りは山ばかりの村だ。
 おそらく、 野犬か、 肉食の獣の仕業であろう と考えた父は、 急きょ 番犬を飼うと言い出し、
 早速、 何処からか シェパードの子犬 を手に入れた。

 シェパードだから、 大型犬だから、
 と 特大の犬小屋 を製作し、 白いペンキで 塗りたくった。

 小さな子犬が やってきた

 父が 名前を付けた。
 なんと、 住んでいる 村の名前 を そのまま犬の名前にしたのだ。
 ありえない。
 村にも、 子犬にも失礼だ。
 よって、 ここに名前を明かせない。 住んでいた村が 分かってしまうからだ。



 東京都にも 村がある。
 檜原村  利島村  新島村  神津島村  三宅村  青ヶ島村  小笠原村
 どれも立派な良い名前である。
 ただし、 村の名前としては、 である。
 犬の名前 としては どうかと思うのは、 吾輩ばかりではないはずだ。


例えば、
「ヒノハラ、 お手」
「カミツシマ、 伏せ」
「オガサワラ、 お預け」
 どうだろう。
 そこはかとなく 失礼感が漂うばかりでなく、 たいそう 呼びにくい。 
「リシリ  おすわり!」

 父に ペットの名前をつけさせてはいけない と、 その時悟った。
 子犬は雄だった。 可愛かったが おバカだった。


 最初につれてきた時、
 あまりの可愛らしさと、 予想を裏切る小ささに
(何しろ、 散々 大型犬と連呼されていたので)、
 抱いたまま 家の中に入れてしまったのがいけなかった。

 座敷の真中で、 おもらし してしまったのだ。
 あわてて 庭に下ろしたのだが、 遅かった。

 そこを 自身のトイレと決めてしまったらしく、 何とかして座敷に上がろうとする。
 成功すれば、 しっかり 座敷の真中で、 満足そうに おしっこをする。
 そういう事が 何度か繰り返され、 対策を講じた。
 少しでも足がかりになりそうなものを 取り払った。

 ド田舎の 農家の離れ である。
 バリバリの狭い日本家屋で、 シェパードを 室内犬 として飼うという発想は、
 どこをどうほじくっても 出てこない。

 吾輩と妹は、 おおむね 縁側(えんがわ)から出入りしていたのだが、
 足台にしていた敷石がなくなった為、 運動能力を試される仕儀(しぎ)になった。
 七歳児と二歳児にとって、 田舎家の縁側は 高い
 靴を持って 飛び下りる。
 帰りは、 先に靴を脱いで、 飛び上がる。
 縁側が汚れるし 危ないから と禁止された。
 が、 なかなか親の言う事を聞かない 姉妹 であった。
 妹は、 二歳児だったくせに よくやったものだ、 と 今は褒めてやりたい。


 さて、 犬の為に、建設した ホワイトハウス だったが、
 どうも 子犬の方は 気に入らなかったようだ。
 鉄格子のはまった窓が 嫌だったのだろうか。
 いっこうに入ろうとはしない。

 父は、 何でもないふりをしたが、 相当がっかりしていたようだ。
 背中が 寂しい と語っていた。

 代わりに 吾輩が入って、 お昼寝した。
 広さは十分だ。
 しかし、 母に見つかって、 ものすごく叱られた。

 鉄格子の中にいる我が子 を見て、 喜ぶ親は 稀(まれ)である。



 その後、 父の転勤やら、 その他 大人の事情が相まって、
 子犬のうちに、 村の名前の犬は、 他にもらわれていった。
 犬好きな人らしい と聞いた。
 泥棒に入られて、 番犬を欲しがっていた とも聞いた。

 新しい飼い主から、 まともな名前 をもらっていれば良いのに、 と思う。



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コメント
593:素晴らしいセンス by 夏音 on 2012/09/21 at 20:16:41 (コメント編集)

お父様の命名に拍手です
その土地の名前を付けるなんて

村名ではありませんが、こんな所に住んでいたらタイヘンでした
「嵯峨二尊院門前善光寺山町」・・・・京都にある地名です
もう「寿限無」状態です

うちで飼っていた犬は、命名する前に一時行方不明になり、帰ってきたとき、おなかにマジックで大きく「くま」と書かれていました・・・・もちろんそのまま名付けました!

大きな犬小屋でお昼寝、あこがれます

594:Re: 素晴らしいセンス by しのぶもじずり on 2012/09/21 at 22:16:41 (コメント編集)

夏音さんいらっしゃい

うわあああぁぁぁ    こんなところに、親父さんの味方がいた。

> 村名ではありませんが、こんな所に住んでいたらタイヘンでした
> 「嵯峨二尊院門前善光寺山町」・・・・京都にある地名です
> もう「寿限無」状態です
こ、これは!  さすがにここまでややこしい 地名だったら、やめたと思います。

「くまちゃん」なら良いじゃないですか。第一、呼びやすいです。
名付け親は、いたずら坊主?

> 大きな犬小屋でお昼寝、あこがれます
良いでしょう? あれは楽しかったわ。隠れ家か秘密基地みたいで。

595: by flowerh on 2012/09/22 at 08:39:20

こんにちは~

友人は仕事がら、
ネコ、イヌに陶器関係の名前をつけています(^^)

でもそれも長くいると愛らしくなりますよ。

596: by はやとうり on 2012/09/22 at 08:56:06

おはようございます♪

わんこの記事に喰いつきました(笑
シェパードだったのですか あまり賢くはなかった(笑
わんこは可愛ければ良いのです 賢くない子は愛嬌があります
お父様 村の名前を(笑  そのうち愛着が湧くのですがね
諸事情で養子さんに行きましたか 
幸せな犬生だったのでしょうね

犬小屋には入ってみたいですね 共に寝るのは好きです

597:Re: flowerh様 by しのぶもじずり on 2012/09/22 at 11:27:59 (コメント編集)

> 友人は仕事がら、
> ネコ、イヌに陶器関係の名前をつけています(^^)
好きなものの名前を付けたくなる気持ちは 分かります。

今気がつきました。
父は、あの村が、というか、あの村でやった仕事が お気に入りだったから、
村の名前を付けたのかもしれません。
発見です!  ありがとうございました。

598:Re: はやとうり様 by しのぶもじずり on 2012/09/22 at 11:50:50 (コメント編集)

こんにちは

確かに、愛嬌だけはありました。
子犬だから仕方がないけど、愛嬌だけのシェパードで良いのか、という思いもちらりとありました。
シェパードって、賢くて勇敢なイメージがあったので。

わんこの個性もそれぞれですが、あの子は、たぶん、成犬になれば、賢く勇敢になった事でしょう。
……それなりに。

605: by 八少女 夕 on 2012/09/23 at 06:49:32 (コメント編集)

なんか、この記事、とても好きで、いまさらコメに参りました。
賢くなくても家族に愛されていた子犬の姿が目に浮かびます。
しのぶもじずりさんの、おどけた文章が大好きです。
知的なんだけど、とても面白おかしくなってしまう。
不思議な魔法ですね。

606:Re: 八少女 夕様 by しのぶもじずり on 2012/09/23 at 11:52:15 (コメント編集)

いらっしゃいませ

気に入って頂けたようで 嬉しいです。
文豪の「吾輩はねこである」が、いかめしい「である体」なのに面白おかしい。
その感じで、雑文にしてみました。
普通の文章にすると、あまりにおバカなのが ばれてしまうからでもありますが……。

614: by 園長 on 2012/09/24 at 18:47:18 (コメント編集)

今はヘタリアのように国の擬人化や大江戸線の駅の擬人化なんかもありますからね、
お父様はかなり先見の明があったのではないでしょうか(*^。^*)

村の名前が付いている犬がいっぱい出てくる物語りなんて
新しくていいかも♪
村の擬犬化(笑) 

617:Re: 園長様 by しのぶもじずり on 2012/09/24 at 19:33:34 (コメント編集)

こんなはずではなかったんですが、何故か、親父殿の味方コメばかりが……。
実在の村なので、名前は出せませんが(散々、ド田舎と書いちゃったし)
呼びにくい名前なんですってば。

私的には、ペットの名前は 呼びやすいのが一番と思います。
ん~、村の名前の犬ばかり出てくる物語かあ。面白いかも。

夏音さん提案の「嵯峨二尊院門前善光寺山町」という名前の犬も入れちゃったりして。

666:そーね、名前ね。 by takako.t.maru on 2012/10/10 at 02:23:14 (コメント編集)

「恥ずかしい名前」って、意味深で面白い。
人間のDQNネームも面白いけど、お犬様もね。
名前って大切ですね。
犬も猫も人も。

667:Re: そーね、名前ね。 by しのぶもじずり on 2012/10/10 at 11:20:07 (コメント編集)

タカ子さん こんにちは

日本人は二種類に分けられる。自分の名前が気に入っている人間と、気に入らない人間。
なあんてね。

物語を書く時も、登場人物の名前って、案外悩みどころなんですよ。
知り合いの脚本家は、親戚一同の名前を使いきった、という話を聞いてます。
とくにミステリー、犯罪小説なんかでは、犯人や殺される人の名前に苦慮していると思います。

おっしゃるとおり、名前って大切です。ペットも人間も。

913:こんばんは。 by on 2012/12/08 at 00:11:53 (コメント編集)

>父に ペットの名前をつけさせてはいけない

でも、ユニークなお父さんですね。
発想が凄くシンプルで。

私もたくさん名前をつけたな・・と。
みんな特徴を掴んで、良かったとは(自分だけの想像)思うのですがww

いつもここに寄らせてもらうと、気持ちがホッとします。
いつもありがとうございます。。
☆彡☆彡

915:Re: こんばんは。 by しのぶもじずり on 2012/12/08 at 00:30:02 (コメント編集)

雫さん いらっしゃい。

何故か、父が人気者になってしまいました。びっくりです。

> 私もたくさん名前をつけたな・・と。
良い名前を付けられると、嬉しいですよね。
物語を書く時には、まず名前を考えることが多いです。

いつもあたたかいコメントをありがとうございます。
私の下手なコメントを残すと、雫さんの世界をぶち壊しそうで、読み逃げが多くてすいません。

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