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犬派のねこまんま 14である        byねこじゃらし

<初めての夏休みに 起こった事>

 吾輩が ピッカピカの一年生になったのは、
 6である に書いたように、 東北のド山の中であった。

 元気に学校に通っていたある日、 担任の先生 が、 我が家にやって来たらしい。
 伝聞なのは、
 その頃 吾輩はおそらく、 草を食べていたか、 山の中でおやつを採集していたか、
 その他のどこかで 活躍 していたのであろう。
 家には居なかった。

 担任は、 眼鏡をかけた、 若くてきれいな女の先生 だった。
 他の子供たちが 「わーい、ドカタの子」 とはやし立てているのを見つけ、
 心配してとんできたのであった。
 思えば 熱心な先生だった。
「学校に来るのを 嫌がったりしていませんか」 という問いに、、
 わが母は、 「喜んで行っているようですけど」 と 他人事 みたいに答えたらしい。

 後から考えるに、 吾輩を苛めようとした子が居たのだろうか。
 吾輩には、 苛められたという認識は 皆無 であった。

 何故かというと、 父親が
 吾輩と妹に 《土方は偉い!》 という刷り込みを 成功させていたからである。
 事あるごとに、 「お父さんは、日本一の土方だぞ」 と威張るので、

 妹などは
「大きくなったら土方のシャチョーになる」 
 と 宣言していたくらいである。

 なので、 「わーい、 土方の子」 という呼びかけは、 吾輩を 喜ばせる ことでしかなかった。
 他は、 ほとんどが 農家の子である。
 小さな村だし、 父の同僚の家族持ちは 単身赴任だったから、 珍しいわけである。

(みんな羨ましがってる。 悪いなあ、 吾輩ばっかり)
 内心、 他の子たちに 申しわけない と思っていた。

 いわゆる、 一つの、 エリート意識? である。



 そうして迎えた 人生初の夏休みだった。



 担任の先生が 自殺した。

 遺書を残して姿を消した 先生を探すために、 村で 捜索隊が組まれ、
 吾輩の父親も参加した。

 捜索に出かける朝、 汗かきの父は、
 予備の手ぬぐい が要るから 新しいのを出せ、 と母に命じ、
 その新品の手ぬぐいが、 先生の死に顔 に掛けられることになった。
 河原で、 睡眠薬自殺をしていた先生を発見したのは、 だった。


 捜索隊に加わった人たちを我が家に招き、 酒をふるまった。
 酔った男たちの話が、 自然に耳に入った。
 意味の分からない話も多かったが、 校長が風呂を覗いていた、 というのは分かった。
 校長のセクハラが原因らしかった。



 いくらか大きくなってから知った事だったが、
 その校長は 町の学校で 同じような事件を起こし、
 山奥の学校に 左遷 されてきた経歴の持ち主だった。
 懲りない親父だったのだ。

 校長が変わった という記憶が無かったので、
 校長は糾弾されなかったのか、 と 父に尋ねた。

 糾弾したところで、 先生は自殺 である。
 田舎の村で、 新米教師が 校長を告訴することは 難しかっただろう。
 しかるべき告発をしていた訳でもない。
 校長を 刑務所に入れることはできない。
 当時は、 教職の資格や校長の経歴をはく奪する事も 困難だと予想された。

 結局追い出しても、 他の学校 に移るだけであろう。
 事情を知らない場所で、 どうせ 同じ罪 を重ねるだけだ。

 ならば、 村中校長の罪 を知っている その場所で、
 二度と悪さをしないように 見張っていよう、 という結論になったらしい。



 誰か、 懲りない奴を懲らしめる、 良い方法 を知りませんか?


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コメント
451:見えない檻 by 夏音 on 2012/08/18 at 21:02:49 (コメント編集)

「村中が 校長の罪 を知っている その場所で、二度と悪さをしないように 見張っていよう」
・・・・これってスゴイですね、「見えない檻」です

でも、被害者が亡くなってしまったからできたことでもありますね

できれば、懲らしめる前になんとかしたいです
誰も懲らしめたくなんてないですから・・・・

知り合いの子は、親から東大に入れと生まれた時から刷り込まれた結果、5歳になった今の夢は「東大を出てタコ焼き屋になる」です

452:Re: 見えない檻 by しのぶもじずり on 2012/08/18 at 23:50:54 (コメント編集)

夏音さん こんばんは

懲りない人って 罰せられても同じことを繰り返すんですよね。
そういう人を全員、死刑や終身刑にするわけにもいかないでしょうし、困ったものです。
告発と刑罰だけでは失くせない。世間の目でがんじがらめにするのは、日本古来のやり方ですかね。
あっそうか。江戸時代方式ですね。前科者に刺青を入れ、世間の目を強化。

> 知り合いの子は、親から東大に入れと生まれた時から刷り込まれた結果、5歳になった今の夢は「東大を出てタコ焼き屋になる」です
東大卒のタコ焼きやさん、どこかに居そうです。それも良いかも。

小さい子に「大きくなったら、何になるの?」と聞くと面白いですよね。
今までで一番笑ったのは、「漬物」という答えでした。いまだに、思い出すと笑えます。

453: by そうへい on 2012/08/19 at 07:51:55

おじゃまします

この話を拝見すると、不備はまだまだ
多くても現在はいくらかでも良い方向へ
動いているのでしょうか

起きた事は残念ですが、
良い環境で育っていたのですね

この様な時も拍手を押して良いのか
判断出来ず、押せませんでした

おじゃましました

455:Re: そうへい様 by しのぶもじずり on 2012/08/19 at 12:32:21 (コメント編集)

ジェットコースターみたいに、上がり下がりが激しい話になってしまいました。
吃驚させてしまったかもしれません。申し訳ない。

懲りない校長の処遇に関しては、特殊な条件下で可能だった事です。
まず、これはけっこう昔の話だという事です。
次に、人の出入りが非常に少ない山の中の小さな村だった、という事です。
お気づきと思いますが、校長の個人情報がダダ漏れです。
この点が、現在では、逆に問題になるでしょう。

いずれにしろ、先生が自殺したことで、何も解決しなかったという事です。
その後、村人が長い間、対処する羽目になったのですから。

人間に間違いは付きものですが、せめて、一度で懲りるくらい賢くありたいものです。
ああ、賢くなりたい!

463: by 火酒 on 2012/08/21 at 21:01:33

ひどい話ですね、
ろくに罰せられないことを、本人も認識した上でやってるのでしょうから・・・

犯罪者はいつまで経っても犯罪者
更生なんてものは期待しちゃいけないと思うんです。
なまじ温情をかけると、ろくなことは無いですよね。
校長の監視、地域の方々は大変だったでしょうが・・・

464:Re: 火酒様 by しのぶもじずり on 2012/08/21 at 22:25:57 (コメント編集)

コメントをありがとうございます。

6歳の子供でしたから、細かい事は分かりません。
自殺した先生と子供たちにとっては、許し難い事ですが、
性犯罪を犯す人間は、はたして加害者だという意識があるのか疑問に思います。
自分のせいで一人の人間が命を絶ったと、本当に分かっているのだろうか。

じぶんが被害を与えたという認識が希薄だから、再犯を繰り返すのかも知りません。

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