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クロウ日記 九

 それからのカケルの働きは 目覚しかった。

 最後のほうは 命の危険を感じる事態にも遭遇したが、 知らないうちに 窮地を抜け出していた。
 自分が 何故助かったのか 不明だったが、 無事なのだからそれで良い、 と深くは考えなかった。
 自分の身の心配よりも、 陰謀を防ぐことが 大事だった。

「カケル、出揃った証拠は 検非違使長官に持っていけ。 話は通してある」
「御意」
「これでそなたも 晴れて潔白の身だ。 掃除は飽きた。 後は好きにしろ」
「はい」
 カケルが執務室を出て行くと、 クロウは おもむろに立ち上がった。
 腕に負った怪我を庇って 書類戸棚の空間に 身を潜め、 内側から扉を閉じた。



 カケルが 検非違使の長に 面会を求めると、 すぐに 通された。
 徹夜で纏めた証拠を差し出して 頭を下げる。
 間に合った。 これで終わりだ。
 公園地は 無事に 民の憩いの場として、 非常時の避難場所として、 従来の姿を損なわずに済む。
 ついでに カケルの無実もはれた。 同じ人物の仕業だった。
 ゆっくりと顔を上げると、 検非違使の長と 目が合った。
 鋭い視線で じっと見ていた。

「やはり、 カケル殿か」
「あっ、 それも クロウ様から お聞き及びでしたか」
「いや、 聞いておらん。 これでも 長年この職にある。 薄々そうではないかと思っておった。
 せっかくだ。 片がつくまで 手伝っていきなさい。 細かいところも確かめたい。
 中務卿には こちらからお願いしておこう」
「クロウ様が良いと仰れば、 私はかまいませんが」
「ではそうしよう。 最後まで見届けなさい」

 主だった面々が集められ、 見る見る段取りが組まれて 怒涛の逮捕劇に突入した。
 それからの大騒ぎは、 あまりの大物が絡んでいたこともあって、 都を震撼させた。
 全部片がつくまでには それなりの日数を要することになった。


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