何故にホトトギス
あれこれ放談 - 2023年03月25日 (土)
有名な川柳がある。川柳でいいらしい。
鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス (信長)
鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ホトトギス (秀吉)
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス (家康)
三英傑がそろって、ホトトギスの鳴き声を聞きたいらしい(笑)
ホトトギスの声って、そんなに良いものなのだろうか。
疑問だ。
古くから「テッペンカケタカ」と表現されている。
近代になって「トッキョキョカキョク」特許許可局。
切羽詰まったような金属的でせわしない鳴き声だ。
そんなに良いもんだろうか。
のんびりとしたウグイスの声の方が好きだけどな。
ウグイスといえば、ホトトギスはウグイスに托卵する。
ウグイスの巣の卵を蹴落とし、そこに卵を産む。
知らぬが仏のウグイスは、懸命に卵を温め、ひなを育てる。
ホトトギスは育児放棄だ。悪いやっちゃ。
ホトトギスには、いろんな漢字表記がある。
不如帰 時鳥 杜鵑 杜宇 田鵑 蜀魂 郭公 子規
これ全部ホトトギスである。
中国の故事に由来するらしい。
昔、蜀が廃れた時、杜宇という男が農業を振興して立て直した。
死んだ後も魂となり農業を始める時期になると鳴いて知らせた。
だから杜宇で、蜀魂で、田鵑で、時鳥。
ところが、他国に襲われて滅びてしまった。
ホトトギスは帰るところが無いと嘆いた。
だから不如帰。
日本では、古くは郭公と表記されていた。
万葉集なんかに出てくる郭公はホトトギスのことだ。
ホトトギスはカッコウの仲間でもあるらしい。
子規は、よう知らんけど、正岡子規という俳人が居る。
結核に冒され、血を吐いた時から、子規と名のった。
自虐ネタっぽい。
鳴いて血を吐くホトトギス。そんな表現をされている。
鳴く時に口を開けると、口の中が赤い。
そのせいらしい。
切羽詰まったような鳴き方も関係してそうだ。
奇しくも信長の妹 お市の辞世にもある。
さらぬだに 打ちぬる程も 夏の夜の
別れを誘ふ 郭公(ほととぎす)かな
足利義輝の辞世では不如帰になっている。
五月雨は 露か涙か 不如帰 我が名をあげよ 雲の上まで
滅亡を連想される鳥でもあるらしい。
他種を蹂躙して利用し、
国を興して農業の始まりの時を告げ、
滅亡して嘆く。
そんな鳥らしい。
どんな鳥やねん。

