妖精さんはどこだ
あれこれ放談 - 2022年02月20日 (日)
円が安くなったり、高くなったり、とニュースで見ることがある。
貿易に携わっていないにもかかわらず、
いずれ我が身にも降り掛かってくるらしいと聞けば、
なにかと心騒がしい気になる。
いや、せわしないことである。
戦後、急激なインフレが起こったこともあり、
米司令部が相場を管理した。
そんな経緯があり、1ドル360円の時代が長く続いた。
20年くらいの間、360円だった。
それが変動相場制に移行し、
戦後の経済復興の勢いがあり、
300円を切るようになると、海外旅行がブームになった。
物見遊山は、日本人のたしなみである。
お伊勢参りは、行かねばならぬ。
大挙して海外旅行に出かけた。
そんな時期のヨーロッパの観光地では、
日本人観光客を<妖精さん>と呼ぶ人が出た。
お行儀が良い。
説明すれば、ちゃんと聞いてくれる。
親切にすれば、喜んで金を使う。
一方、ずさんな対応をしても、クレームが来ない。
しかし、いつの間にか誰も来なくなる。
一時人気があっても、すぐさま閑古鳥が鳴く。
「お返し」も、日本人のたしなみである。
小説とドラマの人気で「倍返し」が流行ったが、
なにも悪いことばかりを返すわけではない。
お世話になったら、お中元やお歳暮である。
嫌な目にあったら、陰口である。
それも、日本人のたしなみであった。
親切にすれば、いつの間にかどんどん湧いてくる。
対応が悪ければ、瞬く間に消えてしまう。
だから、日本人観光客を<妖精さん>と呼んだ。
そんなこんなで「日本人の常識は世界の非常識」という人がいたが、
長い目で見れば、どこかで理解されるのではないかとも思う。
オリンピックで感動的なシーンを目にした。
良き競争相手は、己を成長させる肥やし。
師を超えるのは、最大の恩返し。
ライバルを讃え、長年トップだった選手が新人を讃える。
そういうことが、他の分野でも世界の常識になって欲しいものである。

