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もう一人の芭蕉

 先日、テレビ番組の案内を見ていたら、松尾芭蕉を扱う番組を見つけた。
 芭蕉は忍者だったのか。みたいなことも書いてあったので、
 見ようと思っていたのだけど、見損なった。

 芭蕉忍者説は、けっこう前から聞いたことがある。
 ちょっとワクワクするよね。

 私が読んだと言える句集は「猿蓑」だけだけど、
 「猿蓑」も「奥の細道」も、
 <何月何日、どこそこの場所で詠んだ句>という記述があり、
 句集でありながら、紀行文のようになっている。
 だから、芭蕉の旅の行程と日程が分かる。

 すると、けっこうな速さで旅をしていたのが分かるのだ。
 俳句を詠みながらの、のんびりぶらり旅という感じじゃない。
 健脚だったのだろうけど。

 江戸の趣味人が物見遊山に行くような場所でもない地方を、
 スピーディーに移動する俳人。
 おまけに出身が伊賀。
 怪しいかもしれない。


 松尾芭蕉は「奥の細道」で仙台に行っている。
 仙台にも芭蕉が居たのだよ。
 松尾芭蕉より前に。

 戦国時代、伊達家に仕えた忍者も芭蕉だった。

 仙台の古い町に「芭蕉の辻」という場所がある。
 文字通り辻だ。
 この辻の由来が、忍者の芭蕉なのだ。

 情報収集で大きな手柄を立てた芭蕉に、
 政宗は喜び、褒美をとらす。望みを言え。
 芭蕉は、城下の要所にある辻をと望んだ。
 他国から来た人間が必ず通るであろう辻を見張り、
 子々孫々まで仙台を守ると言い、許された。

 松尾芭蕉も通ったかもしれない。
 戦国の忍者と
 江戸の俳人。
 わずかに時を隔てた、二人の芭蕉。 
 面白いと思いませんか。

 ちなみに、松尾芭蕉が忍者だったかどうかは分からない。
 「猿蓑」は、かなりクールだけれど、たぶん、違う気がする。



 蛇足かもしれないけれど、一言。

 初しぐれ 猿も小蓑を ほしげ也

 この句を詠んだ時、
 冷たいしぐれの山道の途中、どこからか赤ん坊の泣き声が聞こえる。
 捨て子だと思いつつ、松尾芭蕉は、そのまま通り過ぎるんですよ。
 おのれの運のつたなさを嘆け。
 そんな言葉を残して。
 ねっ、寒々しい句でしょう。


 仙台の三奇人

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コメント
4298:自然派。 by ☆バーソ☆ on 2020/02/18 at 07:42:45 (コメント編集)

うーん、またまた小気味いい文体で、名エッセーです。
初しぐれの句で、文章が引き締まって終わっています。

仙台の芭蕉の話は初めて聞きました。
Wikipediaによると、「芭蕉の辻」の由来は、
間諜の虚無僧だったという説が有力ですが、
芭蕉の樹だったという説もあり、
井原西鶴の『一目玉鉾』でも記述されているそうです。
バショウは、熱帯を中心に分布しているが耐寒性に富んでいるそうですね。
なぜ日本では栽培されないできたのでしょう?
いまは東南アジアから安く輸入できるためかもしれませんが、
私の子供の頃は、大道の叩き売りでも3本1000円ぐらいでした。

江戸時代は、旅は命懸けに近かったと言われています。
松尾芭蕉はなぜ東北に行ったのか。
西のほうは開発され、わびさびが少ないと感じたのか、
東北に謀反の気配ありとの噂でもあったのか、
と思いますが、それにしては『奥の細道』では
苦吟を愉しみながら飄々と旅をしているように感じます。
辞世の句に、旅に病んで夢は枯野をかけめぐる とあるせいか、
つい芭蕉は旅好きだったのかと思ってしまいます。

4299:Re: 自然派。 by しのぶもじずり on 2020/02/18 at 15:25:18 (コメント編集)

☆バーソ☆様 まいどありがとうございます。

寒さに鳴く猿の声と捨てられた赤ん坊の泣き声を、松尾芭蕉は重ねて聞いたのかもしれません。

黒装束のいわゆるニンジャスタイルは、フィクションらしいです。
あんな目立つ格好でどうするの、というところでしょうか。
実際は、行商人とか虚無僧とか、見知らぬ人間が居ても不審に思われない姿で行動していたらしいです。
虚無僧は有髪の修行僧ですから、どこに出没してもおかしくない。
便利だったでしょう。

忍者は町を守ると決意表明しましたが、
俳人は今際の際に、旅の途中で見た非情な現実に枯れ野を思った。
名前は同じでも、確かに別人です。

4302: by sado jo on 2020/02/20 at 00:21:56 (コメント編集)

だれかが風の中で…♪こころわぁ~ むかしぃ~ しんだぁ~
上条恒彦のあの歌に乗せて、中村敦夫扮する木枯し紋次郎が出てきそうなシーンですね。
きっと、捨て子にちらっと目をやって「あっしにゃぁ関わりのねぇこってござんす」って、無表情に通り過ぎるのかな。
そう言えば、上州新田郡三日月村の貧しい農家に生まれた紋次郎自身も、生まれてすぐに間引きされそうになる所を姉のおみつに救われたんでしたっけ。
食べるのが困難な時代には口減らしで赤子を捨てる親もいたんですね…今の時代なら幼児虐待で逮捕されてしまいますが。

4304:Re: sado jo様 by しのぶもじずり on 2020/02/20 at 16:36:25 (コメント編集)

今の時代だと、捨て子は保護責任者遺棄になります。
死んでしまったら、保護責任者遺棄致死。どっちにしろ犯罪です。
見つかったら、逮捕されます。
簡単ではありません。
代わりに、児童虐待が増えているという噂ですけど。
さて、どっちがましなんでしょうね。

4308: by ROUGE on 2020/02/25 at 16:24:13

お願いです!
パブコメに協力してください!
ブログ見てね

4309:Re: ROUGE様 by しのぶもじずり on 2020/02/25 at 17:35:02 (コメント編集)

パブコメって、パブリックコメントのことで良いのかしら。
考えて検討してみます。

4310:FC2ブログ更新お疲れ様です。 by 横町利郎 on 2020/02/26 at 06:04:31 (コメント編集)

◆ご挨拶◆
しのぶもじすり様、去る2月16日(日)は拙ブログに初コメントとリンクを頂き、ありがとうございます。ご自身が仙台出身とは不思議な縁ですが、今回は我が仙台の話題「芭蕉の辻」を取り上げて頂いたことに深く感謝申し上げます。

◇芭蕉の辻の由来について◇
Wikipediaを見ますと芭蕉の辻の命名の由来には二通りあり
①伊達政宗の間諜として働き、恩賞として辻の四隅の建物を授かった芭蕉という名の虚無僧が住んでいた(『封内山海名蹟記』)
②芭蕉の樹が植えてあった(『封内風土記』)
と記載されています。現在は①の虚無僧説が有力(以下略)とされるようですが、仙台藩にはかつて政宗公(正宗ではありません)お抱えの黒脛巾組という間者が居ました(福島県の新地町には、現在でもこの苗字を名乗るかたがいらっしゃいます。或いは末裔なのかも知れません)ので、あながちこの説は大いにあり得るものと察しております。
また、藩政時代は罪人に刑を執行した場所とも聞き驚いています。

♣ブログネームについて♣
記事とは関係のないことですが、昨日或る歴史書を見ていたところ、福島県の特産である織物に「信夫もじすり」という品があるのを知り、もしかしてご自身のブログネームの由来?とお見受けしました。間違いでしたら何卒ご容赦願いたいと存じます。

□まとめと御礼□
お陰様で、有意義な情報を提起して頂きました。知の回廊の構築に感謝申し上げます。改めまして、今後とも宜しくお引き回しの程お願い致します。ありがとうございます。

4311:Re: 横町利郎様 by しのぶもじずり on 2020/02/26 at 16:26:51 (コメント編集)

コメントをごありがとうございます。

子どもの頃に親戚の爺様に聞いた話です。
その親戚は郷土史の研究者だったので、「連坊小路」の話も聞いたはずですが、そちらは覚えていません。残念です。

仙台の話は過去記事に「仙台の三奇人」があります。
お気が向きましたら、ご感想など頂ければ幸いです。

記事の下にリンクを貼っておきます。

4312:いつもありがとうございます by さえき奎(けい) on 2020/02/26 at 16:37:48 (コメント編集)

しのぶもじずりさん、こんにちは。
「酒とソラの日々」のさえき奎です。
いつも私の拙いサイトへお越しいただきましてありがとうございます。

> わずかに時を隔てた、二人の芭蕉。
> 面白いと思いませんか。

「芭蕉忍者説」はよく耳にしますが、これは初めて聞きました。
なるほど芭蕉の辻ですか。
勉強になりました。

今後ともよろしくお願い申し上げます。
まずはご挨拶まで。

応援ぽちさせていただきました。

4313:Re: さえき奎様 by しのぶもじずり on 2020/02/26 at 17:44:41 (コメント編集)

こちらこそ ありがとうございます。
コメントを頂けるとうれしいです。
これからもお邪魔すると思いますので、どうぞよろしく。

4314:ご返事ありがとうございます。 by 横町利郎 on 2020/02/26 at 19:29:05 (コメント編集)

承知。但し
①文中の正宗を政宗に直して頂けますでしょうか?
②しのぶもじすり様のブログネームの由来への返答を頂けますでしょうか?
以上の二点について宜しくお願い致します。
訪問はそれからになります。

4315:Re: ご返事ありがとうございます。 by しのぶもじずり on 2020/02/26 at 21:42:12 (コメント編集)

横町利郎様 すいませんお手数かけました。
ご指摘いただいた箇所を訂正しようとして、手違いが起こり、記事がめちゃくちゃになっておりました。
直しましたが、文章が少し変わっているかもしれません。

HNのしのぶもじずりについては、色々な方に何度かご質問いただいております。
気にしていただけたということは、良いHNを選んだと思っていいのでしょうか。
百人一首や新古今和歌集の和歌を思い浮かべる方が多いようですが、植物のネジバナの方です。
ネジバナが好きなのですよ。
ひっそりとか弱い花なのに、どこにでも生えているようなしたたかな感じも気にっています。
今はモジズリといわれることが多いですが、古くは<しのぶもじずり>とも呼ばれていたようです。
福島の染め物の方ではありません。

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