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日本語の愛について

 先月書いた記事「万葉集の最初の歌を好き勝手に考察した件」に、
 万葉集の最初にある雄略天皇の長歌は、
 建国宣言と民へのアピールだったんじゃないか、と好き勝手な考察を書きました。

 大和国は、私がぜんぶ従えている。
 豊かに 楽しげに この丘で若菜を積む子よ、
 我が腕に抱かれよ。

 そんな感じの建国宣言だったら、
 国民へのラブコールみたいで、ちょっといいかもと思っちゃいました。

 そこで、はたと思いました。
 英語の Love
 日本語の  は
 同じようで微妙に違うよね。

 元々日本語のは、<愛(め)でる>ともいうように、
 強い者が弱い者に対して、
 あるいは立場が上の者が下の者に対して使う言葉です。
 弱い者や目下の者が、強者に使う事はありませんでした。

 弱い者が強い者に生意気なことを言ったり、少々逆らったりしても、
 「ういやつ(漢字で書くと、愛い奴)よのう」と愛(め)でたりします。
 例えば、子が親に反抗したり、好き勝手をしても、
 愛し続けるのと同じようなものです。

 だから、弱者や子が成長して、完全に対抗できるようになれば、
 関係が変わります。
 愛とは違うものになります。

 愛人といえば、日陰者に決まっています。
 妻は山の神になりますから、対等以上の関係になります。
 奥さんに「愛してる」と言えない人は、
 なんとなく日本語の愛について、気がついている人なのかもしれません。
 誰彼かまわず連発する人は、もちろん要注意です。
 相手を獲物認定している可能性があります。

 愛するには資格が要るのです。
 強者であるという自信や誇り。
 強者であろうとする日々の奮闘。
 肉体的、社会的、あるいは精神的、
 なんでもいいけど、何かが強くなければ、
 愛を告げる資格は無いのです。
 
 それが、日本語のです。

 直江兼続が、兜に愛の字を付けていたのは有名です。
 愛宕権現とか愛染明王の加護を求めたという説がありますが、
 あれは、強者であるという意気込みを表したものではないでしょうか。
 逆らってもいいけど、自分は強いぞ。
 かかってくるなら覚悟しろ!
 みたいな。


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コメント
4200:愛=大事にする(ケセン語訳) by ☆バーソ☆ on 2019/05/20 at 06:59:37 (コメント編集)

おー、また、素晴らしいエッセイです。
テンポと歯切れが良くて、気持ちよく読めます。
この件、私もなんとなく感じてはいましたが、
頭の中でここまで言葉にはなってなかったです。
「強い者が弱い者に対して」は、なるほど。そう感じます。
「愛人」と「山の神」は、なるほど。そう決まってます。
「なんとなく日本語の愛について気が付い」てはいませんが、
私は言えません。そんな言葉、気恥ずかしくって。
あ、いや、そうじゃなく、「自信」と「資格」がないせいでした。
「みたいな」で行替えされているのも、巧いと思いました。

「強い者が弱い者に対して」の
文字列を選択するとアイコンが出てきたので、
クリックしてみたら各国の発音が出てくるのですね。
クロアチア語が他の2、3倍長かったですよ。

※ケセン語訳とは、医師の山浦玄嗣さんが
新約聖書を気仙沼地方の方言に訳したものです。

4201:Re: 愛=大事にする(ケセン語訳) by しのぶもじずり on 2019/05/20 at 18:15:46 (コメント編集)

ケセン語訳ですか。面白そうですね。
日本の初期のキリスト教では、「愛」を「お大切」と言っていたと聞いた事があります。
神は人間を愛してるとして、人間側が勝手に忖度するのは恐れ多いとでも思ったのでしょうか。
「お大切」とか「大事にする」のほうが、柔らかくて、取っ付きやすく感じます。

4202:奥さんに「愛してる」と言えない人は by ささげくん on 2019/05/21 at 08:16:42

>奥さんに「愛してる」と言えない人は、
 なんとなく日本語の愛について、気がついている人なのかもしれません。

〇なるほど、目から鱗ですね!
 私も、その一人です。
 愛とは男女関係の言葉でなく、より広い意味がある感じがしております。
 草々

4203:Re: 奥さんに「愛してる」と言えない人は by しのぶもじずり on 2019/05/21 at 17:21:30 (コメント編集)

夫婦の間で「愛してる」は言い難いですよねえ。
馴染まないというか。
そう言う人はいっぱい居そうです。
良い日本語があるはず、ということで、続きの記事を書こうと思います。

4205: by sado jo on 2019/05/22 at 11:32:30 (コメント編集)

「愛人」と言うと日本語では怪しい関係になりますが、中国語では戸籍上のちゃんとした奥さんの事になります。
ちなみに、日本語では自分の旦那さんの事を「良人」と言いますが、中国語では年齢に関係なく「老公」となります。
若い新婚の旦那にはとっても気の毒ですが…まぁ、結婚は人生の墓場と言う喩えもありますのであながち間違ってはいないかも(笑)

4208:Re: sado jo様 by しのぶもじずり on 2019/05/22 at 18:09:56 (コメント編集)

同じ漢字を使っても、中国と日本では意味の違うものがそこそこありますね。
<城>が<町>のことだったり、<手紙>がトイレットペーパーのことだったり。

私は中国語には詳しくないのですが、中国語の<愛>は日本語の<愛>とはどんな風に違うのでしょうか。
ご存知でしたら教えてもらえるとうれしいです。

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