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昔話「ふくべえ爺さんとむくどり爺さん」

 昔々のお話でございます。
 あるところに村がございました。

 村には ふくべえ爺さんという たいそう人気者の爺が居りました。
 ふくべえ爺さんは 屁をひって 色々な音を出しました。
 自由自在な音で 歌ななども奏で、
 村人に請われるままに屁をひっては 喝采を浴びておりました。


 さて、ふくべえ爺さんの隣に、むくどり爺さんという爺がおりました。
 むくどり爺さんは ふくべえ爺さんがうらやましくてなりませんでした。
 是非 自分も自由自在に屁をひってみたいものだと 常日頃から思っておりました。

 ある日、むくどり爺さんは ふくべえ爺さんに尋ねました。
 どうやったら あのように自在に屁をひることができるのか教えて欲しい。

 尋ねられたふくべえ爺さんは困りました。
 いつの間にか なんとなく できるようになっただけで、
 自分でも よく分からなかったからです。
 教えることができません。

 ふくべえ爺さんは そう言いましたが、むくどり爺さんは引き下がりません。
 あんなに見事な屁のひりかたが、なんとなくできるとは思えませんでした。
 やり方があるはずだ。コツがあるに違いない。
 毎日毎日 しつこく食い下がりました。

 ほとほと困ったふくべえ爺さんは、適当なことを言ってごまかすことにしました。
 「毎日 十粒のお多福豆を煮て、毎日食べること」
 なんとなく思いついた でたらめです。


 むくどり爺さんは、教えられた通り 毎日お多福豆を煮て 食べました。
 でも、いっこうに上手く屁をひることができません。

 早く屁っこき名人になりたい むくどり爺さんは、
 大鍋いっぱいの大量のお多福豆を煮ました。
 それを一気に食べ尽くしました。

 するとどうでしょう。
 お腹が ゴロゴロと鳴りだしました。

 むくどり爺さんは喜びました。
 なんか できそう!

 むくどり爺さんは やる気満々です。
 そこで考えました。
 記念すべき初演奏を こんなへんぴな田舎で披露するのはもったいない。
 もっと多くの人々に聞いてもらいたい。
 山を越えれば にぎやかな都だ。
 そうだ 都に行こう!

 むくどり爺さんは、漏れそうになるのを我慢して旅立ちました。

 ゴロゴロと鳴るお腹を押さえ、山道を急ぎます。

 しかし、まだ山道の途中だというのに、
 むくどり爺さんの前に、がらの悪い男たちが立ちふさがりました。
 「有り金全部置いて行け」
 追いはぎでございます。

 都で稼ぐつもりで出てきていますから、
 むくどり爺さんは お金をほとんど持っておりません。
 腹をくくりました。

 追いはぎが相手では もったいない気がしますが、
 練習と思えば ちょうど良い。

 「お金はありませんが、とびっきりの芸をお見せしましょう」

 「とびっきりの芸だと?」
 「都でも評判になること間違い無しです」
 「よし、やってみろ。面白ければ通してやろう」
 話がつきました。

 むくどり爺さんは、くるりと後ろを向き、尻を出し、
 我慢していたものを 思いっきり吐き出すように ふんばりました。

 すると、
 びしゃーっ
 黄色く ドロドロしたものが 尻の穴から吹き出しました。

 下痢便まみれにされた追いはぎどもは、
 当然ながら 怒り狂い、
 むくどり爺さんは ボコボコにされたのでございます。

 命からがら村に逃げ帰った むくどり爺さんは、
 すっかり村の笑い者になりましてございます。

 村の子どもらは、笑いながら歌を歌い、
 長く歌い継がれることになりました。


 じゃになった じゃになった
 ふくべえ爺さん じゃになった
 なにじゃにな〜られた
 長者に な〜られた

 じゃになった じゃになった
 むくどり爺さん じゃになった
 なにじゃにな〜られた
 亡者にな〜られた 


 どんとはらい


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コメント
4112: by sado jo on 2019/01/30 at 22:47:18 (コメント編集)

芸人にもよくいますが人の真似して稼ごう…と言うセコイやり方をするとそうなります。
文学も芸術もあくまでもオリジナルを追及すべきです。盗作はいけません…とは言いながら、結構どの業界でも多いですね(笑)

4113:おもしろい♪ by mika on 2019/01/31 at 12:34:45 (コメント編集)

ぴしゃー、で…そりゃそうなるわな…って思いました( *´艸`)
えっ?むくどり爺ちゃん、そこでやっちゃうの?『ぴしゃー』あ~…やっちゃったよ(^_^;)
これは、ふくべえ爺ちゃんがわるい(笑)

日本昔話を観てるような、読んでいるような…テレビで観ていた頃のアニメーションがくっきり浮かんできました♪
面白かった~♪

4114:Re: sado jo様 by しのぶもじずり on 2019/01/31 at 17:50:24 (コメント編集)

むくどり爺さんは、鍋いっぱいのお多福豆を一気食いするという微妙なオリジナリティを発揮しています(笑)
真似から学ぶという道もありますしね。
むくどり爺さんは熱心に学ぼうとしました。
盗作やコピペじゃ論外ですが、真似自体は一概に悪いこととは思いませんが……。

4115:Re: おもしろい♪ by しのぶもじずり on 2019/01/31 at 17:56:00 (コメント編集)

mikaさんも面白いと思っていただけましたか。
「ふくええ爺さんとむくどり爺さん」は、私のお気に入りの話です。
どっちの爺さんも面白いキャラですよね〜。

<マル子とペケ子のおとぎ話問答>には入れ難かったので、独立させてしまいました。

4116:ならば私も小話を一つ by miss.key on 2019/02/03 at 12:30:58 (コメント編集)

 あるところに男がいた。
 男はおならで音楽が奏でられないかと思った。
 努力の甲斐あって「ファ」と「ソ」と「ラ」が出せるようになった。
 更に頑張ると「シ」と「ド」と「レ」が出る様になった。
 よし、もう一息と更に頑張ったところ「ミ」が出た。

4117:Re: ならば私も小話を一つ by しのぶもじずり on 2019/02/03 at 17:28:33 (コメント編集)

miss.keyさん こんち
西洋の……否、現代の屁こき名人ですか。
そういえば、テレビで見たことがあります。
パンツの中がどうなってるのか気になります(笑)

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