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赤瑪瑙奇譚 第九章――5



 時は 前日に さかのぼる。

 結局、 メダカを一匹 殺す羽目になったホジロは、 春の離宮へと向かった。
 カムライに 面会を申し入れたが、 門番に すげなく扱われる。
「明日のご婚儀を控えて、 殿下はお忙しい。 今日は 無理だな」

 ホジロは 仕方なく 手紙を書いて 渡した。
「火急の用なんだ。 これを 急いで渡して欲しい。 読めば 絶対に 会ってくれるはずだから。
 渡さなかったら、 後悔するのは 君だよ」
 脅し半分に 押し付けた。

 門番は 迷いながらも、
「まあ、 手紙だけなら」
 と 受け取った。
 そのまま 門前で待っていると、 案の定、 すぐに 招き入れられる。


「ホジロ、 どういうことなんだ」
「同じ毒だ。 四人いる。
 目当てはここ、 春の離宮らしい。
 どういう段取りなのか 分からないけど、 たぶん明日。
 今日 騒ぎを起こすのは 早すぎるだろ」
 早々に騒ぎを起こして、 翌日の婚儀を はじめから中止にする とは考えられない。

「四人か。 それなら、 あの時と同じ奴らだな」
 宿のゴミ箱に在った布には、 ほんの少しだが、 毒が付いていたのだ。
 マホロバに来たカムライと 初めて出会った 丘の上の別荘で、 襲ってきた賊が使ったものと 同じ毒だった。

「まともな手段では、 奴らの腕なら 心配ない。
 問題は やはり毒だな。 ホジロ、 手伝ってくれ」
「僕、 とっても弱いんだけど」
 ということで、 迎え撃つ準備をする二人だった。


 事が起こったのは、 城に向かおうとした時だった。
 前祝に浮かれる町中から、 一群の男たちが 豹変して、 春の離宮に押し入ってきた。

 謀反に備える為、 城中に 多くの兵士を 潜ませてある。
 浮かれ騒ぐ 城下の混乱を押さえる為にも、 かなりの兵を割(さ)いていた。
 畢竟(ひっきょう)、 春の離宮は 思いのほか 手薄になっていた。

 警備に当たっていた者達が、 応戦する。
 時ならぬ戦いに、 あたり一帯が 騒然となった。
 たまたま通りかかった民がいたが、 めでたい祝いの日に 武器を持っている者はいない。
 加勢しようにも 手が出せずにいた。

 入り口の騒動を尻目に、 四人の男たちが 忍び込んでいた。
 人目を避けて、 離宮の中を 音もなく奥へと進んでいく。

「殿下、 大事なご婚儀に、 血を浴びることになってはいけません。
 我らに任せて お部屋で 静まるのをお待ちください」
「分かった、 頼む」
 何処からか、 慌てるふうでもない 落ち着いた声が 聞こえてくる。


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コメント
283: by 十二月一日 晩冬 on 2012/07/13 at 19:37:33

この展開、前日に遡りますよねー
王道って感じ・・・そして、殿下(・∀・)
あゝ、カムライ

284:Re: 十二月一日 晩冬様 by しのぶもじずり on 2012/07/13 at 20:21:05 (コメント編集)

> この展開、前日に遡りますよねー
実は、私はあまり戻りたくない人なのです。
大雑把なあらすじで書き始めて、時系列がめちゃくちゃになった事がありまして、
それをきちんと並べ変えたら、すっきりとした事があったものですから、
安易に時を遡るのはやめよう、と思ったわけなのです。
でも、今回はしかたがないので、やっちゃいました。
お、王道なのですか? 使いどころの問題なのですね。

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