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2013年08月のエントリー一覧

  • あなたも魔法使い

     電気のことを 英語で、 エレクトリシティと言いますよね。 これは ラテン語のエレクトリカから来ているようです。「琥珀のような」という意味みたいです。 ギリシャ語で、 琥珀をエレクトロンと言います。 毛皮と琥珀をこすると、 軽い羽が吸い寄せられる。 ご存じのように、 静電気のせいです。 この現象は、 紀元前には すでに知られていました。 琥珀 はきれいな石ですから、 宝石として 装飾品に使われました。 ドレ...

  • 薬種狩り 六の2

    「まだ学生だ。 だが、 いずれ典薬寮を動かす身分になる」 玲は 堂々と返した。 二人の会話を まったく気にすることなく、 無遠慮に近づいた穂田里は、 衣都のツンツン頭を ワシワシとかき回した。「俺は穂田里だ。 よろしくな。 いっちゃんは 声変わりもまだなんだな。 安心しろ、 俺が守ってやる。 兄貴と呼んでいいぞ」 迷惑そうな気配をわずかにちらつかせて、 衣都の視線は 二人の背後に向けられた。 馬が三頭 駆け寄...

  • 薬種狩り 六の1

     夜の闇が 朝の光に勝ちを譲る頃、 穂田里と玲は 待ち合わせの場所に急いでいた。 二人とも しっかりとした旅支度をしている。 護身の為、 穂田里は手槍を肩に背負い、 玲は 使えるか使えないかはともかく、 腰に小太刀《こだち《を差している。「絶対見つけような。 そしたら俺らは英雄だ。 きれいなお姉ちゃんたちにモテモテで、 さばききれなくなったら、 どーしよー。 いやー 参るなあ」 男くさい環境で育った穂田里は...

  • 薬種狩り 五の5

    「玲、 一緒に行きなさい」 典薬頭は 即座に前言を翻《ひるがえ《した。「父上、 可愛い息子に、 まさか 生きて帰れないかもしれない過酷な任務を お命じになったりはしないですよね」 めったにやった事は無いが、 肉親の情に訴えてみる。「玲、 私の自慢の息子よ。 穂田里の手綱を取れるのはお前しかいない。 父の窮地を救ってくれ。 頼む」 返り討ちにあった。「もう一人 同行させてください」 親子の駆け引きを歯牙にもか...

  • 薬種狩り 五の4

     能天気な勇者に、 典薬頭は 首を傾げた。「親の私が言うのもなんだが、 玲は 足手まといにしかならないと思うが」 玲が、 ほら見ろ という顔をする。「実は、 俺には 親友の玲にしか打ち明けていない秘密があります。 そのせいで、 俺一人では無理なんです」 問いかける視線が 二人分、 玲に集まった。「知らない。 打ち明けられた覚えは無い」 玲は ブンブンと首を横に振る。「あれえ、 そうだっけ。 おかしいな。 まあ良...

  • 薬種狩り 五の3

    「はあーっ、 そうだな。 最悪の事態を想定して、 天狗苺が薬として使われる以前の記録を 当たっていたところだったのだが、 それを参考にして 出来る限りの対処をするしかないな」「昔は どうしていたのですか」 典薬頭の言葉に、 左右衛がおざなりな問いを返した。 期待が持てるような気がしない。「一人発病すると、 身近な人間が次々発病する事から、 病人を一か所に集めて 健康な人間との接触を避けたりしたようだ。 町...

  • 犬派のねこまんま その29     byねこじゃらし

    <でかいウサギは、 人懐こいウサギだった> ベランダで飼うつもりだったから、 餌場は ベランダに決まっていた。 毎日、 家族の誰かしらが刈ってくる 大量の草が、 どさりとベランダに置かれると、 ウサギの耕助は バリバリと食べた。 草の山に潜るようにして、 真っ先に 好物のタンポポからがっつく。 トイレもベランダだ。 食器用の洗いかごをトイレにした。 ウンコは 網の目に引っ掛かり、 オシッコだけが下に墜ちる仕...

  • 薬種狩り 五の2

     勇んで調べた結果が これである。 やけっぱちな気分が 立ち上って来るようではないか。 「……らしい」ばかりの 怪しい報告書を読んだら、 行きたくない と思って当然だ。 朝廷にあって、 病気や怪我を治療するのが 典薬寮の本来の役目である。 ほとんどが都育ちか、 あるいは 地方でも豊かな土地の出身者でもある。 命懸けの冒険旅行に向いた人材は 居ない。 かといって、 武官や徴税吏では 天狗苺を見分けられない。 古...

  • 薬種狩り 五の1

     有力な情報を手に入れ、 意気揚々と典薬寮に戻った玲だったが、 それが 新たなる問題に火をつけた。 衣都が示した三か所に 典薬寮から人を送り、 天狗苺を探そう。 初めて出た前向きな提案に、 一時は 明るいきざしが見えたものの、 目的地を調べたところで 意気消沈した。 全員が 行くのを断った。 理由は簡単である。 生きて帰れるとは思えないから。 至極もっともな理由である。 これ以上の理由は他にない。〈隠忍《...

  • 薬種狩り 四の7

     左右衛と衣都のやりとりを聞きながら、 玲は苛々した。 『森が死んだ』とか 『ヌシ』とか、 玲の感覚から遠くずれている。 おとぎ話めいて、 怪しすぎる。 とにかく、 天狗森に天狗苺は無い。 この二人は それが言いたいだけなのだ と理解して、 話を進めることにした。「それなら、 他に生えている、 あるいは 生えている可能性がある場所が知りたい」 衣都は またしばしの間、 唇を尖らせた。「おれたちが行った事のある...

  • 薬種狩り 四の6

     娘は 無表情で上がると、 左右衛が指差した場所に 正確に腰を下ろした。「この子は 駄狗の一人娘、 衣都《いつ《。 ずっと駄狗と一緒に 薬種を探す旅をしておりました。 駄狗のやり方を知っているのは、 この子だけです。 代わりになるとしたら この子しかいないでしょう」 玲は 面白いものを見たと思った。 一応 娘らしく薄紅色の着物を着ているが、 本人が喜んで着ているようには 全く見えない。 誰かに無理やり着せら...

  • 薬種狩り 四の5

    「旦那様、 典薬寮の学生だという方が、 そのう…… 駄狗さんに会いたいと」 困った顔で 番頭が左右衛に告げた。「駄狗の知り合いか」 左右衛も難しい顔になる。 死んだのを知って弔問に来たのか、 知らずに会いに来たのか分からないが、 気が伏せる。「いえ、 違います。 薬種を見つける名人が居ると聞いて来た。 その人にどうしても話がある と言っています。 とびっきりきれいで、 まともに見たら目が潰れそうなほどです...

  • 薬種狩り 四の4

     天狗苺の生息状況を調査し、 最も適した地域を保護区に指定して、開発の手から逃れさせなくてはならない。 典薬寮を上げて、 まずは現地調査を開始した。 ところが……。「駄目です。 一株も見つかりません」「枯れた残骸と思われるものしかありません」 採集を命じて 天狗森に行かせた学生たちは、 誰ひとり 天狗苺を見つける事が出来なかった。 調査研究をするどころではない。 すでに 調査対象そのものが見つからない。...

  • 薬種狩り 四の3

     中天にかかった太陽が、 薬草園に燦々《さんさん《と降りそそいでいた。 駆けつけた典薬頭の目にうつったのは、 見渡す限り茶色く変色し、 地面にへばりついている わずかばかりの枯れ草の残骸《ざんがい《だけだった。「御覧のとおりの有様です。 前回いらしたときには 何事も無いように見えましたが、 その翌日から みるみるうちに様子が変わりました。 非常事態だと感じて、 急ぎ文を送ったのですが、 お忙しかったよう...

  • 薬種狩り 四の2

    「そんなあ。 大変だ。 こんな事をしている場合じゃない。 取り戻して、 典薬助様に提出しなおさなくちゃ」「おい、 こら。 大事な資料を放りだすな」 バタバタと駆けだした穂田里は 典薬頭の部屋に飛び込み、 文机の上にあった物を引っ掴んだ。「あっ、 違う。 これじゃない。 おお、 あった。 いかん、 いかん」 初めにつかんだ文らしき物を、 丁寧に元に戻し、 にやりと笑った。 自分以外にも 留守を知らずに 文を置いてい...

  • たー坊様へ 知らなかったので、推理してみました。

     たー坊の食事日記というログの管理人さん、たー坊様から、ご質問がありました。 ベランダで、グレープフルーツ、カボチャ、カニシャボテン、クヌギを育てたという豪の者です。 お返事が長くなりそうなので、ここに書いちゃいます。<たー坊様のコメ> 『薔薇の挿し木って根付くんですね~   中略 ところで、ハルジオン?ヒメジョオン? という植物は、なぜ貧乏草というのか ご存知でしたら、教えてください。 ずっと貧...

  • 薬種狩り 四の1

     場所は 典薬寮の片隅、 びっしりと立ち並んだ書棚の陰から 果てしない悪態が漏れ出てくるが、 耳にした者は 声を掛ける事も無く、 むしろ すっ飛んで逃げてゆく。 触らぬ神に祟《たた《りなし。 優秀な学生の的確な判断だ。 不穏当な言葉の数々を、 呪詛のように吐き散らす人物に近づくのは 得策ではない。 危機回避能力は、 長生きに不可欠の要素である。 しかしながら、 そういう配慮が全くできない人間というものも た...

  • 薬種狩り 三の6

     草楽堂は 暗く沈んでいた。 夕闇が迫っているからでもなく、 大戸を閉めて 店が営業を終えたからでもなく、 不幸な匂いのする暗さだった。「旦那様。 駄狗さん……が」「どうした。 何かあったのか」 出迎えた番頭に問えば、「駄狗さんが、 死んでしまいました」「馬鹿なことを言うんじゃないよ。 危険な旅先でも死なない奴が、 よりにもよって 何故こんなところで ……本当なのかい?」 左右衛に伝えたことで 張りつめていた...

  • 薬種狩り 三の5

     一方、 左右衛は大内裏に駆けつけ、 天狗森開拓許可の責任者に面会を申し入れたが、 昼を大分過ぎてしまっていて、 高位高官はもとより 主だった官吏はすでに退出しまっており、 やっと捕まえた下っ端官吏は 無駄に横柄《おうへい《なばかりで 役に立たない。「朝廷が審議の上許可を出したのだ。 無理無理。 中止になどならない。 おまえごときが安易に口出しする事ではない。 顔を洗って 出直して…… も無駄だ。 余計な事は...

  • 正しい呪い方・呪われ方

     お盆休みの方も多いことと存じます。 帰省なさっている方もいらっしゃるでしょう。 そこで 今回は、お盆らしく(?) 呪い についてお話したいと思います。 少しは寒くなって頂けますでしょうか。 まずはじめに申し上げたいのは、 呪いは、 ほとんど呪う側の問題だということです。 呪われる側の問題ではないのです。 ですから、 案外、 呪われていることに気付いていない場合がほとんどです。 次に、 呪いに至るにもプ...

  • 薬種狩り 登場人物

    <主な登場人物>     もしかしたら、途中で追加するかもしれませんが、とりあえずアップします。 衣都(いつ)―― 無口な娘。散切り頭。猟師のような身なり。力持ち。 穂田里(ほだり)―― 名門の武官の家に生まれたが、ある事情から、典薬寮の学生になった。            頭よりも体を使う方が得意。 玲(れい)―― 典薬頭の息子。美貌の俺様青年。典薬寮一の優秀な学生。 駄狗(だく)―― 薬種を集める名人...

  • 薬種狩り 三の4

     その子は 何が起こっているのかを理解していなかった。 父親の駄狗と ずっと一緒に旅をしてきた。 母親の事は覚えていないが、 ちっとも寂しいと思った事は無かった。 駄狗は どんな時も頼もしい。 一歩足を滑らせれば 命を落としかねない千尋《せんじん》の谷を渡る時も、 足音も無く忍び寄り、 野性の牙をむく獣と対峙《たいじ《した時も、 駄狗が居れば 怖くなかった。 いつだって 冷静沈着で 余裕があるように見えた...

  • 薬種狩り 三の3

    「まだ 諦《あきら》めていないのかい。 駄狗さんが言うと、 本当に 見つけそうに思えてしまうね。 まっ、 当人がやりたがっているんだ。 考えてみておくれ」 小僧が茶を運んできた。「もったいないが、 しょうがない。 旦那様が 出すようにおっしゃるだろうからと、 番頭さんが……」 余計な事を言って 物珍しそうに二人を眺めたが、 左右衛の顔色を読んだものか、 慌てて二つの湯呑を置いた。「まずは 一服おあがり。 良い...

  • 薬種狩り 三の2

    「先に送った荷は 届いたか」 駄狗の口からは、 返事の代わりに ぶっきらぼうな問いかけが出る。「ああ、 届いた、 届いた。 あれは良い。 上物だ」 左右衛は にこにことご機嫌な顔を見せた。 同じ薬種でも、 おのずから質の良し悪しはある。 送られた荷は 草楽堂のお眼鏡にかなう物だったらしい。 草楽堂の評判を支えるもう一つの重要な役目を この駄狗が担(にな)っていた。 薬種と言えば、 草かんむりが示すように 薬草が...

  • 薬種狩り 三の1

     都には どんな人間だって居る。 少々の変わり者なら、 笑ってやり過ごすのが 都人の粋な振る舞い というものだ。 だが そんな都人も、  その二人連れには、 通りすがりに 思わずちらりと目を走らせる。 山から迷い降りてきた獣のような、 野生の空気をはらんだ 痩身《そうしん》の男と、 背中いっぱいの大荷物を こともなげに背負って歩く、 まだ子供らしい 小柄なもう一人。 二人とも 猟師のような 山歩きにこそふさわし...

  • 薬種狩り 二ノ2

    「玲は 天狗森に行った事があるか」 両手に付いた土を パンパンと払い落し、  穂田里は立ち上がりながら聞いてみた。「無いな。 どうせ天狗苺しか使える薬草はないと聞いている。 しかも 天狗苺は 冬枯《ふゆがれ》病にしか効かないときている。 無駄足は好きじゃない」 にべもない返事が返る。「月の雫花はどうだ。 万能薬らしいぞ。 不老長寿の薬だという話を聞いた事もある。 それよりなにより、 この世のものとは思え...

  • 薬種狩り 二ノ1

     典薬寮が管理する薬草園に 天狗苺を植え終わった穂田里は、 土に汚れた手をそのままに、 もう一度 一本一本を丁寧に点検した。 丈夫そうな若い苗を まわりの土ごと掘り出し、 特に根元を傷めないよう 注意して運んできたものだ。 天狗苺の為に用意された場所は 思いのほか広かったので、 何度か天狗森を往復したが、 怪しい植物はあれきり姿を見なかった。 やはり 夢を見たのか と少し疑心暗鬼になりかかっては、 いやい...

  • 薬種狩りの目次

     【あらすじ】 都に近く、 不思議なおとぎ話が伝わる森があった。 天狗森 と呼ばれるその森には、 他では見つからない薬草 「天狗苺」が群生する以外は、  役に立つようには思われていなかった。 都一と評判の薬屋、 草楽堂《そうがくどう《に 貴重な薬種を売りに来る父子がいた。 男の名は 駄狗《だく《。 無口な娘の名は 衣都《いつ《。 天狗森開発計画を知った駄狗は、 阻止しようとするのだが……。 まあ色々あって、...

  • 薬種狩り  一

     気が付いたら、 森の奥深くまで分け入っていた。 典薬頭《てんやくのかみ》の言い付けを果たす為ならば、 奥に分け入る必要はない。 天狗苺《てんぐいちご》なら、 森の何処にでも生えているのだ。 わざわざ探す手間もいらないほど すぐに見つかる。 しかし 穂田里《ほだり》は、 そそくさと用事を済ませて帰ってしまうのは、 もったいない と思ったのだ。 みずみずしい若葉に心誘われるまま 歩いていたら、 いつの間にか...

  • 次回作のご案内

     「くれないの影」の帯 改訂版については、 ただいま編集会議で検討中です。 アイデアを思いついた方、 引き続きコメントをお待ちします。 帯で遊ぶのは楽しいですが、そろそろ次回作の予告をします。 題名は 「薬種狩り」 です。 凝ってません。 シンプルです。 【あらすじ】 都に近く、 不思議なおとぎ話が伝わる森があった。 天狗森 と呼ばれるその森には、 他では見つからない薬草 「天狗苺」が群生する以外は、 役に...

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